一日何回歯を磨きますか? [歯の話]
ある日の子供との会話である。
住人 「勉強せんといけんのやろ?」
子供 「わかっとる」
住人 「わかっとるんやったら、勉強せな!」
子供 「勉強しよる」
毎回同じやり取りの繰り返しだが、成績が上がったという報告はない。
全て親である、住人の責任である。
知行合一いう言葉がある。
「そんなこと知っている」でなく、「そんなことすでにやっている 」でないといけないという教えであるが、さらに第3者から「あの人は出来ている」と評価されるのは大変である。
知り得ていることを実行することは容易ではない。さらに実行したことが目的を達成するのはさらに容易ではないと思う。
先日、TBSの朝の番組で「お口の中の清潔さとガンの関係」について報道している時、一日の歯磨きの回数が話題になった。
女性司会者 「皆さん1日何回歯を磨いてらっしゃいますかぁ?」
解説委員の一人 「1日1回っ」
一瞬スタジオ中が凍りついたように「シーン」となった。
口の中の健康は全身の健康につながっている。 [歯の話]
近年、歯科領域の細菌や病気と医科領域(全身)の病気との関係が多く解明されています。
例えば、歯周病は糖尿病の合併症の一つ(糖尿病が進行すると歯周病がますます悪くなる)であることはすでに認知されているが、歯周病の治療をすることで、糖尿病が改善することも示唆されています。
10月10日、11日に宮崎で日本歯周病学会とその市民公開講座も開催されました。
「未来を展望する歯周治療」をメインテーマに、前田勝正九大教授を大会長に学会が開催されたのですが、当学会でもシンポジュウムなどで、歯周病と全身の関わりについての発表が多く見受けられました。
智歯(親知らず)は抜いた方がよい? [歯の話]
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、朝晩だいぶ涼しくなってきました。皆さんそそそろ夏の疲れが出てきていませんか?
季節の変わり目になると 親知らずが腫れて我が家に来られる方が、少し増えます。なぜでしょう。
この時期に口の中の細菌が異常繁殖して猛威を振るうからではありません。
口の中の細菌は日ごろからあなたのお口の中にいるのですが、あなたの体力やスタミナが低下して感染抵抗力(免疫力)が落ちた時に「親知らず」が腫れやすいのです。
口の中は日ごろからバイキンが感染しやすい場所ですので、体は免疫による防衛線をはって、細菌と戦っています。免疫力が低下すると細菌は防衛線を突破して体内に進入してきます。
プラークコントロールの難しい、完全に生えていない親知らずの周囲は、細菌にとって恰好の体内への進入経路なのです。
親知らずが腫れると、痛い、あつぼったい、お口が開きにくい、食事がとりにくいと本当に辛いものです。
歯はなるべく抜かないほうがよいとも言いますが、患者さんからよく「親知らずは抜いた方がよいのでしょうか。?」という質問をされます。
「第15回 咀嚼と健康ファミリーフォーラム 」のご案内 [歯の話]
以前等ブログで、近年うまく噛めない、うまく飲み込めないといった子供さんが増えていることを書きました。咀嚼の重要性はあらためていうまでもありませんが、最近、「食育」という観点からの歯科が注目されています。>>>雑学いろいろ > 噛む!カム!レシピ
「特定非営利活動法人日本咀嚼学会 第20回記念学術大会」が2009年10月2日(金)~4日(日)の日程で,開催されます。
以下は冲本 公繪(九州大学大学院歯学研究院咀嚼機能制御学分野)大会長挨拶より引用ですが、
発足から20年の歴史を経て,初めて関門海峡をわたり,第20回記念学術大会は福岡・博多の地で開催されることになりました.
(中略) 近年,咀嚼の重要性については広い職域・層の関連専門家のみならず,健康志向の社会的な背景から一般の人々からも注目を浴びています.本学会が同分野の研究活動の成果と情報を社会に積極的に発信し,国民の健康生活向上,維持そして健康長寿に果たすべき責任はますます大きくなっていくと思われます.
これらの社会的背景から, 第20回記念学術大会のメインテーマ『人の生活を支える咀嚼学の構築を目指して』とし、その一環として「食育と咀嚼」をテーマに、市民フォーラムが開催されます。
会場は福岡、天神で、交通アクセスのよいところですので、興味のある方は ぜひ参加されてはいかがでしょうか。
肺炎と歯科 [歯の話]
新型インフルエンザの流行に伴い、肺炎が注目されているようです。
肺炎とお口の中は密接な関係があります。
口腔常在菌といって、常に口腔内(お口の中)にいるそれほど特別でない細菌が心臓疾患、糖尿病、腎臓病など、体のあちこちで悪影響を及ぼすことは、以前から言われており、歯科から見ると決して新しい話ではありません。
肺炎は日本人の死亡原因の第4位で、この肺炎で死亡する人のおよそ90%以上の人が65歳以上の高齢者です。
現在、老人病院では脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)が基礎疾患にあり、肺炎や感染症になってお亡くなりになる方が約半数との調査結果があるそうです。
実は 本人に気が付かないうちに、口の中の細菌が肺の中に入っているのです。口腔内の細菌と肺炎の原因菌とが一致することが多いことは古くから知られた事実です。
八重歯ってかわいい? ~糸切り歯(犬歯)の重要性~ [歯の話]
ファーストフードやカレーなどやわらかくて、あまり噛まなくてよい食材が増えている現在、日本人のあごは小さくなっているようです。
一昔前までは、親知らずが生えるスペースがなくて、斜めに生えたり、手前の歯に引っかかって生えてこなくてトラブルになっていましたが、最近では親知らずのひとつ前の歯(第2第臼歯)の生えるスペースすらなくて、正常に生えない方もいらっしゃいます。
あごが小さくなるに伴い、歯の大きさもコンパクトになってくれるとよいのですが、そうはうまく行かないようです。
歯の生えるスペースが足りなくて、歯並びがデコボコになるのが叢生です。
左右の犬歯の間の幅はあごの成長に伴い、永久歯に生え変わる間に、3~4mm広くなるといわれています。(乳歯の時は「すきっ歯」の方がむしろ正常なのです。)この隙間を利用して、しかも乳歯よりも外側に永久歯が並ぶことで、乳歯より大きな永久歯がきれいに並びます。
乳歯の時にあごが小さく、「すきっ歯でない」お子さんは叢生になる可能性が高いと言えます。
犬歯は周囲のよりも遅く生えるので、生えるスペースがないと、外側にはじき出されたようにして生えてきます。
日本では八重歯 といわれ、昔はアイドルなどでも、『八重歯がカワイイ』といわれた人もいるようですが、八重歯がかわいいのは日本だけのようです。
欧米では「ドラキュラの歯」中国では「トラの歯」といわれ、評判がよくありません。
日本で、「八重歯がかわいい」と言われていた女子も、アメリカに留学すると「あなたはなぜ留学するほどの経済状態なのに、矯正をしないのか?」と聞かれることもあるようです。
歯を磨いて笑顔に磨きをかける [歯の話]
花火大会の会場で見かける、浴衣姿の若者などは はちきれんばかりに若さがあふれています。
20代前後の若い方のはつらつとした笑顔は 美しく輝いていて、若さっていいなと思います。
一方、歯並びやむし歯などトラブルを抱えておられる方の笑顔はどこかぎこちなく、お口の中だけのトラブルにとどまらず、心や体にまで影響を及ぼしているとしたら、大変残念なことです。
いつまでも健康で美しく、その若々しい笑顔を維持するためにもお口の中の手入れが大変重要です。
近年清潔志向が広がっています。住人からみて「ちょっとやりすぎじゃない」と思う場面もありますが、とにかく、OLの皆さんなど ドラマを見ていると昼食後の洗面所で、みんなで歯を磨いています。
こんなに清潔志向で歯磨きの回数が増えているのに、20歳代の独身女性の約77%の方がお口の中に何らかのトラブルを抱えているそうです。
どうやら「磨いているけど。ちゃんと磨けていない」様です。
歯周病というと中高年の病気と思われがちですが、25~34歳の約76%の方が実はすでに歯周病にかかっています。
歯周病の原因や歯周病を助長する要因は様々ありますが、最も大きな原因は歯周病原菌です。
舌がピリピリ、ヒリヒリ ~舌痛症~ [歯の話]
口の中が、ネバネバ、カラカラ~口腔乾燥症(ドライマウス)~ [歯の話]
「口の中がカラカラでひりひりする、義歯が擦れて痛い。」といって来院される方がおられます。
唾液の分泌量の低下で「お口の中がネバネバ気持ち悪い」、
さらに進んで「舌が痛い(舌痛症)、食べ物を飲み込むのが苦痛(嚥下障害)話しにくい(構音障害)重度の口臭やう蝕、歯周病がある」 といった症状があるときは口腔乾燥症(ドライマウス)の可能性があります。
一般的に唾液の減少が原因ですので、水分を補給して改善する一過性の口渇(のどの渇き)とは異なる状態を言います。
口腔乾燥は高齢者の呼吸器感染症を増加させ,歯周病などを起こしやすい口腔内環境を作ることも明らかになっています。
また、食欲を減退させ全身状態を悪化させる一因となることもあります。
三徳山三仏寺奥の院(投入堂)
がん治療と口腔(こうくう)ケア [歯の話]
我が家にお見えの患者さんにも、初めてお見えになったときにすでにガンの手術をなさったことのある方や、久しぶりにお見えになって、前回の治療以降に、ガンの手術を受けた方などいらっしゃいます。
皆さん、「全身の治療と歯の治療は関係ないだろう 」「たかが歯の治療なので、大丈夫だろう」と考えられておられるのか、全身の病気のことはあまり話していただけないことがあります。
しかし、実はそうでもないのです。
がんの治療は、がんそのものに対する作用だけでなく歯や歯肉を含め全身に影響を与える可能性があります1)。
がん治療による歯や歯肉への副作用には、歯肉を含めた口腔粘膜の腫れ、ただれ、潰瘍形成(口内炎)、感染、味覚の変化、口の渇き、痛み、むしば、歯がぐらぐらする、歯肉の萎縮の他、あごの骨への影響などがあります。
このため、がんの治療を受けている患者さんにとって、正しい口腔ケアの習慣を身につけることはとても重要です。
また、口腔内を健康につためには、がん治療の主治医(以下、主治医)、かかりつけの歯科医(以下、歯科医)、そして患者さんの三者が良好なコミュニケーションを築くことが大切です。
歯科医には、あなたががん治療を受けていることを、また主治医には、あなたの歯科治療歴を把握しておいてもらう必要があります。
三徳山三仏寺文殊堂
口臭(こうしゅう)の原因の90%は口の中 [歯の話]
日本歯科医師会は5月26日に、「口臭予防と歯の健康について~口臭の原因の90%は口の中にある~」をテーマに、第2回歯科医学・医療に関するプレスセミナーを歯科医師会館で開催した。
講師は川口陽子・東京医科歯科大学大学院 健康推進歯学分野教授(東京医科歯科大学歯学部附属病院「息さわやか外来(口臭専門外来)」の診寮科長)で、
「『お口のエチケット』口臭予防は歯の健康から~8020歯の養生訓~」と題して講演を行われた。
川口教授によると、口臭の種類には
▽生理的口臭
▽飲食物・嗜好品による口臭
▽病的口臭
の3種類があることを紹介。
特に病的な口臭においては、歯周病や舌苔、唾液分泌の減少など、口腔疾患を原因とするものが90%以上であることを示すとともに、定期的に歯科を受診し、口の中の問題や歯の磨き方などのチェックを行うことを呼びかけた。
三徳山三仏寺かずら坂
歯と子育て7(6歳以降) [歯の話]
「今日から小学生なんだから、自分で歯磨きちゃんとしなさい。」とそんな急に言われても・・・・
幼稚園の間は手取り足取りお世話をしてきましたが、子供を自立させるため(親も半分疲れているのだが)と急に突き放してしまう親御さんが時々いるようです。お子さんにしてみればまさに青天の霹靂。
成長とともに親離れ、子離れをしてゆくことは大切ですし、自立を支援することは大切な親の役目です。
しかしながら、自立して独り立ちしてもらうためにはそれなりの準備とトレーニングが必要です。
小学校へ入学する頃になると、仕上げみがきをやめてしまう場合が多いようですが、この頃は、乳歯から永久歯へ「歯の交換期」を迎える大切な時期です。
小学生になっても、歯磨きの習慣の出来ていない子は磨こうとしませんし、磨き方の癖があると どうしても磨き残しが出てしまいます。
1~2年生の間は本人が磨いた後で、磨けていないところを指摘しながら磨いてあげることや、歯と歯の間のフロスでの清掃をしてあげることも必要でしょう。3~4年生になっても本人の磨き残しを指摘して再度磨かせる必要があります。(8~9歳頃までは、1日1回は仕上げみがきをしてあげる必要があるようです。)
法隆寺 聖霊院
歯と子育て6(3歳以降Ⅲ) [歯の話]
現在、歯科医師の間で問題になっているが、子どもたちの姿勢の悪さです。
食事は あごと首に付いている筋肉をフルに使う咀嚼運動です。
咀嚼運動には頭部や上半身をしっかり支える全身の筋力が必要です。
小学校での歯科健診も行う歯科医、倉治ななえ先生の心配は、今の子どもたちの腹筋や背筋、特にインナーマッスルと呼ばれる体の内側の筋肉が弱いことだそうです。これは激しい運動に必要な筋肉と違い、身体を固定しつまり動かないための筋肉です。
むし歯予防デー [歯の話]
この時期(むし歯予防デー)になるとマスコミなどで、歯のことが取り上げられることが多くなります。むし歯は依然として国民的な感染症です。
皆さんに ご自身の歯や健康に関して関心を持っていただくことは大変よいことだと思います。
むし歯が減ることは、皆さんの幸福につながることはもちろん、国民医療費の削減につながるからです。
そんな歯の話題でマスコミでは「歯は削るべきか、削らないべきか」などといった治療に関しての議論で盛り上がることがあります。
こういう話題も良いですが、これは病気になった後の治療法に関する議論です。これではいつまでたってもむし歯はなくなりません。
法隆寺上御堂
歯と子育て5(3歳以降Ⅱ) [歯の話]
住人は まだ子育てが終わったわけではなく、よそ様にとやかく言う資格はないのですが、最近はうまく飲み込めないお子さんが増えています。前回に引き続き大きなお世話ですが、本日はよくかむことの大切さを中心にお話します。
脳梗塞などで嚥下障害(うまく飲み込めない障害)が起こることがあります。そのような場合はリハビリをしながら、自分の口で噛んで飲み込むリハビリが必要になります。
経管栄養など特殊な状況を除き、咀嚼、嚥下は一生必要なものであり、食べることの楽しみは人生を豊かなものにしてくれます。生涯自分の歯で健康に食生活を送るために歯はとても大事です。老後まで健康なお口で楽しく過ごすためには、子供の頃から食材の大きさ、硬さなどを工夫してゆっくりとよく噛んで食べる習慣をつけることが大切です。
ゆっくりとよく噛むことによって、アゴや歯ぐきが鍛えられ丈夫になり、だ液の分泌がよくなり、口の中の病気を防ぎ、消化も助けます。また、食事量が少なくても満足感が得られ、生活習慣病の中でも肥満や糖尿病の予防が可能となります。
時間をかけてよく噛んで食事をすることで、満腹中枢に刺激が加わり満腹感が得られるので、ダイエットになるのです。また、ガンなどの引き金になる活性酸素を減らす作用もあるので、体によい事は科学的に証明されているようです。
歯と子育て4(3歳以降Ⅰ) [歯の話]
3歳を過ぎると、かなり精神的にも肉体的にも成長してきてきます。今日は虫歯予防とメンタルなお話を少しいたします。
お子さんの成長や生活習慣、虫歯の有無などを確認する3歳児検診があります。
20本の乳歯が生えそろい、かみ合わせがきちんとできているか、またむし歯になりやすいのか、などをチェックします。
1歳半検診では近年、虫歯のあるお子さんはほとんどいませんが、3歳児検診ではお口の中にちらほら虫歯が見受けられることがあります。
3歳児のむし歯の状況をみると、これから先のお口の状況を推測できます。3歳児検診は保護者の方にとって、歯の健康や育児の方法を見直すよい機会になります。
3歳までは聞き分けがありませんので、治療をお利口に上手になんてことを求めること自体無理な話ですが、3歳を過ぎるころになると歯科医やお母さんの言うことが理解できるようになり、次第に治療にも協力してくれるようになります。(お子さんの成長には個人差がありますし、個性もあります。)
法隆寺中門
お勧めの歯磨き剤は? [歯の話]
『歯磨き剤はどんなものが良いの?』と、よく質問されることがあリます。
現在、スーパーやドラックストアに行くと陳列棚には多種多様の歯磨き剤が販売されています。また、テレビのCM等でも独自の効能を宣伝している製品も多く見かけます。(歯周病が治るように勘違いさせるCMが多いので注意が必要です。「歯周病が治る」といってしまうと薬事法に引っかかるのでビミョーな表現です。)
患者さんの中には「なすび入り」のものや「竹炭入り」の歯磨きを持ってきて見せてくれたりします。「値段が高いからよく効くのでは」と考えるのもメーカーの罠にまんまとはまっています。>>>世の中のからくりについて考える3~情報(広告)と企業の利益~
それでは、どのようなものが本当に歯磨き剤として望ましいのでしょうか?
住人は歯磨きペーストのお薬としての効果はあくまでも補助的なものと考えております。
歯を白くするとか、歯周病予防や知覚過敏を緩和する効果を宣伝したものがありますが、これを使えばその問題が解決するとは考えない方が無難です。
歯と子育て3 1~3歳編 [歯の話]
季節柄、小学校や幼稚園では歯科検診が行われているのではないでしょうか。前回も述べたように住人はダメパパで子育てや子供の歯磨きについてえらそうなことを言う資格はありません。子供が歯科検診を受ける時は子供以上にその結果にヒヤヒヤしています。
しかし近年、食べ物や飲み物を上手に食べたり飲んだりすることすらできないお子さんが増えています。どうしてこんなことになったのか考えてみたいと思います。小児歯科専門医ではありませんが、皆さんのお役に立てればと思い、前回の続きです。
●1歳を過ぎて上下前歯が生えたら、離乳食をスプーンで運ぶ時の一口量を学びましょう。
適当な量をお口に運んで、アムアムして、飲みこむことを毎日の食事で、トレーニングすることが大切です。食べ物をのせたスプーンはお口に入れたら、上唇でとらえて、上唇の動きで口の中へとり込ませましょう。
●規則正しい生活習慣を身につける
早寝早起き朝ごはんの習慣を身につけ、楽しく毎日の食事ができるようにします。
栄養のバランスや適度な噛みごたえのある食品をとることは言うまでもありません。あまり最初から硬いものを噛ませるのも好ましくありません。
●ごはんなどの穀類をしっかりと
最近の食生活は、ごはんなどの炭水化物が減る一方で、肉類などの脂質の摂取量が増えつつあります。
脂質の摂りすぎはメタボの予防のためにも気をつけなければなりません。
そのためにも主食としての穀類を毎食きちんと摂ることが必要です。その結果、健康で好ましい生活習慣が形成されます。お米は穀類の中でも日本の風土・気候に合っていて、自給可能な作物であり、日本人にはお米の食生活が適しています。
小さい時の食習慣は一度出来上がってしまうとなかなか改善できません。お子さんをメタボにしないためには最初が肝心です。
●子どもの頃の食生活が将来の味覚に影響します。
子どもの頃から薄味に慣れておきましょう。甘いものの摂りすぎは肥満のもと、塩分の摂りすぎは高血圧のもとです。
ファストフードや外食は濃い味付けが多いので、家庭でできるだけ薄味のものを食べさせるようにしましょう。
薄味の食品をしっかりと噛(か)んで食べることで、食べ物本来の味を楽しむことができます。子どもの頃からしっかりと噛んで食べることを覚えましょう。
●おやつは時間と量を決めて
おやつは、与えてもかまいませんが、その代わり食べた後は歯ブラシ!
手軽なスナック菓子、清涼飲料水ばかり食べさせるのは問題です。
歯と子育て2 ~子どもの健やかな成長を願って~ [歯の話]
昔は赤ちゃんが成長して成人するのはかなり大変でした。子供が健康で健やかに成長するのは 今も昔も親の願いです。
食は文化であり、日本の各地には子どもの健やかな成長を願って、「お食い初め」、「一升もち」といった歯・口や食にまつわる行事があります。
歯と子育て1 (乳幼児編) [歯の話]
子育てはヒトを一人前に育て上げる大変な仕事です。住人は子育てを家内にまかせっきりにしてきたので、えらそうな口をたたく資格はありません。
そして、まだ子育ては終わっていませんので、家内も含めて親としての責務をどれだけ果たせているのか結果は出ていません。
住人などは食いしん坊だからか、親から食べ物の噛みかたを習った記憶はないのですが、近年うまく噛めない、うまく飲み込めないといった子供さんが増えているそうです。我が家も時々相談を受けます。
そこで、どれだけ人様のお役に立つかわかりませんが、大きなお世話を焼きます。ただし、小児歯科専門医ではありませんので、以下「そういう考えもある」程度に読んでください。
法起寺 飛鳥時代 わが国最古の三重塔 国宝
パンドラの箱 [歯の話]
巷では医師不足の問題が話題になっています。けれども日本の賢明な官僚の皆さんは 昔から今後起こり得る事、問題の本質もすべてすでに把握なさっていたと思います。そして、日本の社会保障問題がパンドラの箱であり、絶対に自らの手でふたを開けてはならないことも。
救急救命医や産婦人科医不足の問題では少しパンドラの箱のふたが開きつつあるようです。
問題の本質は実は単純です。
医療の財源は 国民のニーズや治療の効果、安全性によってコスト計算されて決められたものではなく、まず医療の財源というのがどんぶり勘定的に決められてしまうのです。その根拠はただ景気と前年度比であったり、GDP比であったりです。その中で歯科医療の治療費が決められているのです。
「これだけのレベルの治療を現在の世の中のルールを遵守して、安心安全に行えばこれだけコストがかかる」と計算されたのではないのです。
その積算根拠のあいまいさが様々なところにしわ寄せとなっているのです。
介護福祉士の賃金の低さが問題になっていますが、しわ寄せと言うのは大抵弱者のところに来ます。(歯科医業は現在は弱者です。)
官僚の皆さんや政治家の皆さんはそろそろ「現在の財源で国民の皆さんに安心、安全良質な医療を提供するのは無理です。」と言ったほうがよいと思うのですが、パンドラの箱を開けるのが怖いのか、現在でも、良質な医療が提供できていることにこの国ではなっているようです。
法隆寺五重の塔
日本臨床歯周病学会 市民フォーラム(2009/6/27)のご案内 [歯の話]
近年、医療技術の進歩と相反するかのように「要介護者」も増加傾向にあります。前触れもなく起きる脳梗塞による寝たきりや認知症や老化等による介護問題は、患者さん本人のみならず、ご家族にも大きな負担を強いることになります。健康な時に気がつかなかった”食べる・噛む”ということが、要介護者にどれほどの効果をもたらし、より豊かに生きることにとって重要であるかがわかってきました。
そこで、日本臨床歯周病学会では
「要介護者のQOLを高めるために~いのちを支える歯科医療~」
と題して市民フォーラムを開催します。
日時:2009年6月27日(土)
午後1時30分~4時(午後1時開場)
会場:アクロス福岡・国際会議場
福岡市中央区天神1-1-1 4階
入場無料
残りの人生をおいしく食べるために [歯の話]
患者さんで、「どうせ自分はそんなに長生きせんから・・・」とおっしゃる方がいらっしゃいます。しかし、最近の医療技術はそう易々と死なせてくれません。
脳、心臓血管系の病気でも救命率は高まっています。どこか後遺症は残っても命は助けてもらえます。そして特殊な状態をのぞいて、「食べること」は生きている限りやめるわけにはいきません。そして、歯が残っていればその歯はもちろん、たとえ総入れ歯になっても、お口の手入れはしなければなりません。
法起寺新しい門出の季節に~笑顔で変わるあなたの第一印象~ [歯の話]
新しい門出の季節です。新しい環境に飛び込んでいかれる皆さんは 期待と不安に胸を膨らまていることともいます。
新たな気持ちで髪型などイメージチェンジされる方もいらっしゃると思います。
でも皆さんお顔の大切な部分をわすれていませんか?
そうです!あなたの笑顔で第一印象がガラリと変わるんです!
笑顔に自信がない方、白い歯に自信がない方、
歯医者さんがお手伝いできるかもしれません。
例えば、前歯の詰め物をやりかえるだけで、ずいぶんイメージが変わります。
ホームホワイトニングなら、歯医者さんでトレーを作ってもらったら、あとはおうちで簡単に出来ますので、時間も有効に使えます。
ホワイトニングや矯正治療までしなくても、PMTCで歯のクリーニングをするだけでも、お口がリフレッシュできます。もちろんむし歯や歯周病のチェックもしてもらって下さい。
お口をリフレッシュして、素敵な笑顔で、すばらしい門出をお迎えすることをお祈りいたします。
>>>歯を白くしたい
>>>歯並びと矯正治療
>>>PMTC
手軽に「白い歯」始めませんか?歯の消しゴムシロティ&ビーポリシュ
歯科治療と医療費控除と領収書 [歯の話]
今年も税金の申告の季節がやってきました。歯科で患者さんが税金と関係あるといえば医療費控除があります。
医療費控除とはその年度にかかった医療費を所得税を計算する時に所得から控除してくれるあるいは払いすぎた所得税の一部を返してくれるという制度です。(かかった医療費がまるまる帰ってくるわけではありません。)
したがって、同じ額の医療費で申告しても、年収300万円の方と2000万円の方では当然控除の効果は変わってきます。
ところで、2006年4月1日より、全ての保険医療機関(医科、歯科、処方せん薬局など)で、下の様な領収書の発行が義務付けられました。皆さんも歯医者さんにかかったときに領収書をもらっていると思います。
我が家でも毎回ご希望の方には領収書をお渡ししています。当然この領収書は医療費控除で使えますのでご活用いただきたいと思います。自由診療の領収書も病気の治療であれば医療費控除の対象となります。ご家族が大きな病気で医療費がかかった場合はメリットは大きいのではないでしょうか。
住人は税務署の回し者でも、税の専門家でもないので、詳しくは税務署か文末の参考HPを参考にして下さい。
歯並びと矯正治療 [歯の話]
日本の芸人さんの場合、海外のタレントさんと比べて、歯並びに問題があってもあまり気にせずにテレビに出演している様に住人には思えます。そしてそこからも日本人の歯並びに対する関心の低さがうかがえます。松坂大輔投手は矯正してから渡米したそうです。マラソンの土佐礼子選手は北京オリンピックでは残念な結果でしたがオリンピックに備えて3年間矯正したそうです。
見た目だけでなくスポーツ選手としてパフォーマンスを向上させるためには噛み合わせは大変大切です。
そこで本日は歯の矯正のお話です。
我が家でも歯列矯正を行っております。しかし住人はいわゆる一般開業医であり、矯正専門医ではありません。あらかじめお知りおきください。
歯並びが悪いと何が問題なのでしょう。
- むし歯や歯周病になりやすい
- 歯が負担過重を起こし痛みやすい
- あごの成長、顔の形に影響が出る
- うまく発音できない
- 口もとが気になり、コンプレックスになる
- よく噛めないために胃腸障害が起こることがある
昔は歯並びといえば、見た目が患者さんにとっても矯正医にとっても大切でした。
しかしながら、きれいに前歯は並んだものの、あごの関節に問題が生じることもありました。
現在ではあごの関節に問題が起こりにくいように配慮することや噛み合わせを改善することが矯正医には求められます。言うのは簡単ですが、歯の大きさやあごの大きさなどそれこそ千差万別であり、これがなかなか容易ではありません。
「矯正治療」と一言で言ってもその目的、目標、方法は様々です。そこで今回は 矯正を始める前に知っておいていただきたい基礎的な事項をご説明したいと思います。
矯正の場合、一部の例外を除き(口蓋裂などの患者さんは保険で矯正できる場合がありますので、詳しくは専門医におたずねください)治療開始前の相談(カウンセリング)や検査から自由診療となりますので注意が必要です。
不正咬合の主なパターンhttp://www002.upp.so-net.ne.jp/ikono/fuseikougoupata-nn.htm
歯科医の使命とインプラント [歯の話]
歯科医の使命は言うまでもなく、皆さんのお口の健康を増進することで皆さんにハッピーになってもらうことである。そのためにはご自身の臓器である歯を抜かずにすむようにすることに歯科医は最大限の努力を払うべきである。だから、その目的のために虫歯の治療や歯周病の治療や予防処置が大切である。
さて、デンタルインプラントは今までの歯科の治療を大転換させたといってよいと思う。
昔は歯の治療をしても、歯の数は減ることはあっても増えることはなかったのである。いつものように「おみこし担ぎ」に例えると、今までの歯科治療は担ぎ手がいったん減ってしまえばその後増員されることはなかったのである。ところがインプラントが導入されてからは担ぎ手の増員が可能になったのである。
これは患者さんにとっておおきな福音である。我が家でもそうであるが、インプラント治療を導入している開業医はかなり増えてきており、インプラントを植えるための骨を作ったり、「より美しく」といったところが治療としては大変だが、インプラントを植えるという治療そのものはもう特別なものではなくなってきている。
ところが近年、「この歯は治療しても長持ちしないので抜いてインプラントにしましょう」という歯科医がいるようなことを耳にする。
もちろん状況のわからないものがその歯科医をどうこう言う権利はない。確かに、非常に問題を抱えた歯を無理して残すよりは 抜いてしまってインプラントにする方が再治療の可能性が減り、お口全体として健康が保てる場合もあると思う。
歯科医が歯を抜かないで治療することにこだわるあまり、時間をかけて治療したにもかかわらず、問題が残ったままの歯を残してしまい、治療後あまり時間が経過していないのに再治療をしないといけなくなるのは患者さんにとっても迷惑なことであろう。
しかし、迷惑かどうかは患者さんの価値観の問題であり、十分相談した上で患者さんが決めるべき問題である。
長谷寺のボタン
入れ歯が合わないってそもそもどういうこと?(入れ歯の問題点編) [歯の話]
部分入れ歯というと皆さんが嫌われる原因のひとつに見た目の問題があります。
ひとつは入れ歯の留め金が目立つと言うものがあります。
前歯に留め金がかかっていると他のヒトから「あ!あの人いれば」と思われそうでどうしても口もとが気になります
留め金は見た目上の問題だけでなくいくつかの問題があります。
まず第1点は「入れ歯が動かない、外れないように」という留め金の目的そのものに問題があります。
つまり上記の目的を達成するために、残っている歯にしっかり固定すればするほど、その留め金にまとわりつかれている歯は「入れ歯を支える」という負担が増えるのです。そして留め金の部分は不潔になりやすく、むし歯や歯周病になりやすいのです。(動く入れ歯はもっと問題なのですが>>>小さい(動く、あっていない)入れ歯は歯ぐきをますます痛めます)
いつも住人はお神輿担ぎに例えるのですが、歯を失っていない人と言うのは左右14人づつでおみこしを担いでいるようなものです。
歯を失うと言うことはこの担ぎ手が徐々に減ってくるのです。最初一人担ぎ手がいなくなったくらいであれば残された人たちはそれほど負担に感じないかもしれません。しかし、2人減り、3人減り、と減ってゆく、それも左右アンバランスに減っていけば、残された担ぎ手の負担は急速に増えだし、そのことで、ますます担ぎ手が減ってゆく・・・といった感じで、急速にはがなくなってゆくのです。
残っている歯にしてみれば、失われた歯の分だけ負担が増えているのに加え、以上のような問題がふりかかってくるのです。つまり、ただ入れ歯を作って入れるだけでは問題は解決せず、残っている歯と入れ歯によるかみ合わせを再構築することが非常に大切なのです。
ただ入れ歯を作って入れるだけのために、入れ歯の留め金がかかっている歯が順に悪くなって、入れ歯がだんだん大きくなって、やがて総入れ歯になるのが、大方の昔のお年寄りの入れ歯の顛末でした。
そこで、入れ歯を作る際には留め金のかかる歯に過重負担がかからないような、そして全体のかみ合わせがバランスよくなるような設計を行う必要があります。ここは歯科医の腕の見せ所です。つまり噛むために入れ歯を入れるだけでなく、これ以上残っている歯を痛めつけないような入れ歯を作ることが重要です。
自分で自分の歯を痛める「ブラキシズム」 [歯の話]
いびきや歯ぎしりでつれあいから疎まれるのは悲しいことです。
皆様の中に
歯の表面がすり減り、被せたものがしばしば外れる。朝起きると顎に疲労感や不快感があったり、こわばったりしている。しかも人から「寝ているときに歯ぎしりをしていた」と言われたことのある方はおられませんか。そういう方は「ブラキシズム」という口の異常な習癖を行っている可能性があります。
ブラキシズムとは、上下の歯をギリギリこすり合わせるグラインディング(いわゆる「歯ぎしり」)や無意識に歯を強く噛みしめるクレンチング(「噛みしめ」)などをいいます。昼間でも、ストレスなどで歯を噛みしめることは起こりうるのですが、ブラキシズムは主に睡眠中に生じます。
人はものを噛んだり唾液をみ込むときに上下の歯が接触しますが、それは1日15分前後で、かみ合っているのはごくわずかの時間です。その他に、重い物を持ち上げるときなどを除くと、上下の歯は常に2ミリほど離れていて接触していません。
しかし睡眠中には誰でも多少はブラキシズムを行っていますが、それが長時間に及び過度になってくると、口の中や様々なところに問題が起きます。
睡眠時無呼吸症候群と歯科 [歯の話]
次のような症状はありませんか
○大きなイビキをかく
○日中いつも眠い
○居眠り運転をよく起こしそうになる
○夜間の呼吸停止
○夜中に何度も目が覚める
○起床時の頭痛やだるさ
このような症状のある方は睡眠時無呼吸症候群が疑われます。
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に何度も呼吸が止まり、ぐっすり眠ることが出来ない病気です。
激しいいびきの後に呼吸が止まることを、家族や友人によって指摘されてわかることがが多いようです。
2003年に起きた山陽新幹線の居眠り運転事故は、睡眠時無呼吸症候群が原因だという診断結果が出ているそうです。