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自分で自分の歯を痛める「ブラキシズム」 [歯の話]

 いびきや歯ぎしりでつれあいから疎まれるのは悲しいことです。
皆様の中に
歯の表面がすり減り、被せたものがしばしば外れる。朝起きると顎に疲労感や不快感があったり、こわばったりしている。しかも人から「寝ているときに歯ぎしりをしていた」と言われたことのある方はおられませんか。そういう方は「ブラキシズム」という口の異常な習癖を行っている可能性があります。

 ブラキシズムとは、上下の歯をギリギリこすり合わせるグラインディング(いわゆる「歯ぎしり」)や無意識に歯を強く噛みしめるクレンチング(「噛みしめ」)などをいいます。昼間でも、ストレスなどで歯を噛みしめることは起こりうるのですが、ブラキシズムは主に睡眠中に生じます。
人はものを噛んだり唾液をみ込むときに上下の歯が接触しますが、それは1日15分前後で、かみ合っているのはごくわずかの時間です。その他に、重い物を持ち上げるときなどを除くと、上下の歯は常に2ミリほど離れていて接触していません。
 しかし睡眠中には誰でも多少はブラキシズムを行っていますが、それが長時間に及び過度になってくると、口の中や様々なところに問題が起きます。

DSC_7242 (Small).JPG室生寺金堂

  病的なブラキシズムが及ぼす影響

 ○歯がすり減り、歯がしみたり、痛む
 ○歯肉がさがるなど歯周組織(歯を支える組織)が傷む
 ○義歯や冠が破損する
 ○唇・舌・口腔内の粘膜に歯の跡がつき変形する
 ○顎がこわばったり、疲労感、不快感がある
 ○強度な肩こりが起こる
 ○顎関節症が起こる
 ○耳鳴りや耳痛が起こる

 ブラキシズムの研究を長年にわたり行っている小林義典日本歯科大学教授は、「病的なブラキシズムは、睡眠障害や情動ストレス、自律神経系の問題も起こす、全身的な疾患として注意しなければなりません」とおっしゃっています。
小林先生によれば、
 病的な歯ぎしりや噛みしめの力は、ガムを強く噛んだときの数倍から十数倍にも達するという。病的なレベルの歯ぎしりが続くと、歯がすり減ったり、義歯や冠が壊れたりするだけではなく、咲筋の肥大による容貌の変化や強烈な肩こり、耳の障害、顔面頭部の痛みなどを起こす。またブラキシズムは、顎関節症、情動ストレス、睡眠障害、特に睡眠時無呼吸症候群なども起す。
 特にブラキシズムは眠りを浅くし、レム睡眠を阻害する睡眠障害を起こすことに注意しなくてはならない。また、病的レベルの歯ぎしりの約80%が、睡眠時無呼吸に密接に関連していることが確認されている。さらにこの約70%が危険な中枢型の睡眠時無呼吸であること が分かっている。

 睡眠中になぜブラキシズムが起きるのかはまだ分かっていない、と小林教授は次のように説明します。
「病的なレベルに増大させる原因としては、精神的ストレスに代表される<情緒的問題>と、歯の噛み合わせの<咬合問題>が論議されています。歯ぎしりと情緒的問題との関係を長期に調べた臨床研究では、両者の密接な関係が認められています。ただ、この場合の歯ぎしりは、1日くらいで元に戻る一過性の反応で、危険性が少ないと言えます。
一方、咬合問題で私たちは、健康な人の下の奥歯に厚さ0.1ミリの小さな干渉(住人注;邪魔になる突起)を付与して噛み合わせを変化させ、睡眠中の生体現象の変化を見ました。その結果、干渉を付与すると、歯ぎしりが持続的に増大すること、顎関節症に匹敵する機能障害の症状が出ることに加え、情動ストレス、自律神経系の機能の変化、睡眠障害を起こすことが分かりました」
 このことから、病的レベルの歯ぎしりを持続させる要因の一つとして、微細な噛み合わせの問題が重要となる。
 メカニズムがまだ解明されていないので、治療法は対症療法となる。
中でも、寝るときに歯にスプリントを装着する「スプリント療法」が、歯ぎしりなどを質的に軽減させることが分かっている。また、「歯はわずかに離して寝る」などと、就寝前に繰り返し唱える「自己暗示療法」や「薬物療法」、「行動療法」、「理学療法」なども効果があるという。質のよい睡眠を確保するためにも、ブラキシズムの兆候や症状がある人は、歯科専門医の受診をお勧めする。
とおっしゃっています。

情緒的な問題が原因であれば歯科の領域ではありませんが、小林先生がおっしゃっているように、咬合が原因と考えられる場合、就寝中に使用するマウスピースを作って歯を守る方法もあります。かかりつけの歯科医にご相談してみてはいかがですか。

連れあいに疎まれるのは不幸なことですが、自分の歯が自分が食いしばっている為にどんどん壊れてゆくことは同様に大変不幸なことです。

参考文献;ダイヤモンド健康マガジンNo.7 2008.4.15 ダイヤモンド社

室生寺


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