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転勤と歯医者選び―人を観る目― [エッセイ]

  3月は転勤の季節です。我が家の患者さんでも、転勤になる患者さんがおられます。
 サラリーマンにとって転勤は宿命であり、仕方のないことです。
折角、近所と仲良くなったのに、「秘密のケンミンSHOW」の東 京一郎夫婦のようにすぐ転勤になってしまうのはショックでしょう。
 一方、転勤が多いため、近所づきあいが希薄になることは否めないでしょう。「折角親密になってもどうせ又転勤になるから・・・」、また、「旅の恥は掻き捨て・・・」とまでは思わなくとも「近所との関わりがわずらわしく、できれば関わりたくない」と思っている方もおられるかもしれません。この地方都市でさえ、町内会や子ども会などの地域コミュニティは昔に比べて壊れています。

  そして歯医者さんとの付き合いも同様の事がいえるのではないでしょうか。
転勤先で、新しく歯医者を探し、受診するのはさぞかしストレスフルなことでしょう。住人など、初めての人と会うだけでもドキドキします。それが自分の口をさわられる歯科医と対面しないといけないのですから、お気持ちはお察しいたします。(「何処の歯医者も同じ」と割り切ったお考えの方も折られるかもしれませんが・・・)
どうしたら良いか解らないので、「転勤先の地域情報はお手軽なインターネットの口コミサイトで・・・」という方が多いのではないでしょうか。「北九州 おすすめ 歯科」などで検索したくなる気持ちはよく解ります。

山荘 天水

 これは現代社会ではある意味やむを得ないことかもしれません。

しかしながら、以前から申し上げているように、インターネットやマスコミの情報を過信するのはどうかと思います。インターネットの情報が、あなたにとってすべて正解とは限りません。
たとえば、電気製品の評価や、書籍の書評ですが、どういう価値観と知識をもった人がコメントしているかは評価できません。
住人も、それらを信じて、パソコンのパーツや書籍を購入して、何度失敗した事でしょう。
これは歯医者さん選びでも同じことがいえます。

ちょっと話が脱線しますが、思い出してみてください。
政権が変わる前の民主党はいいことばかり言っていました。
どれほど国民の耳に心地よく、国民も興奮したことでしょう。一方の自民党の言うことには全く耳を貸しませんでした。

その結果が現在この状態です。あの当時民主党が、こうなることを予測し、主張していたマスコミがあったのでしょうか。
「あなたとは違うんです」と言ってしまった首相は別として、漢字の読み方が間違った首相はそんなにダメな首相だったのでしょうか。現在の首相と比べていかがでしょう。

 しかしながら住人は この件は 国民にとって良い勉強になったと思います。ただ単に、マスコミを含め、我々国民に観る目がなっただけです。政権交替してこのことが解ったので、「高い授業料を払った」と思えばよいのです。

  以上のことからもいえるように、インターネットやマスコミはあなたの耳に心地良いことを言いますが、正しいわけではなく、はなはだ怪しい部分もあります。穿った見方をすれば、あなたに優しい、または、あなたが得をする情報は注意が必要だと思います。

 しかしながら、多くの方が、「インターネットなので」、「マスコミが言っているので」ということを理由にその情報を信用しています。
機会があればお話しますが、皇Xといった健康サプリメントはテレビCMでも盛んに宣伝され、飲まれている方が、大変多いようです。これなど、アンチエイジング゙(若返り)したいという欲求を逆手に取ったビジネスです。住人は科学的に考えて、効果も価格も大変疑問に思います。(飲んで幸せを感じている人には異論をはさみませんが・・・)

一方、人は自分にとって不利益な情報をもたらす人が嫌いになるそうです。
たとえば「テレビで天気予報をしゃべる人は、多くの人に恨まれる可能性がある。」そうです。
チャルディーニはこう言います。
「人は「不快」な情報をもたらす人を嫌う傾向にある」

 この事を歯科に当てはめて考えて見ましょう。
患者さんの不満のトップは「十分説明がなされなかったということ」だそうです。
これを上記の傾向をもとに深読みすれば、患者さんの不満は説明が不十分なこともあるかもしれませんが、「自分にとって「快」な情報をもたらす説明が十分なされなかったということ」かもしれません。
「歯を抜かないといけない」、「時間や費用がかかる」、等の患者さんにとって不都合な説明をした場合、「私のために、良くぞそこまで説明してくださった。ありがとうございます。」とはならないどころか、その先生の事をキライになるのではないでしょうか。
解りやすくいうと「自分の気に入る説明をする先生はスキ、自分の気に入らない説明をする人はキライ」
かもしれません。
皆さんいかがでしょう。ご自分の耳に心地良い先生が好きではありませんか。 健康サプリメントなどもそうですが、日本人は「気持ちよくダマされたい」と密かに思っているのかもしれません。

かなり脱線しましたが、では、どうすれば自分にとって信頼のおける歯医者さんにめぐり合えるでしょう。
今日の結論から先に述べると、答えは「そんなに簡単ではありません」。
インターネットの情報も含めて、「どの人を信用すれば良いか」を判断する「観る目」をそれぞれ鍛えるしかないと思います。

以前読んだ本(日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点)で、「日本人より欧米人のほうが人を信用する」ということが書いてありました。
それは日本人より歴史的にも移動交流が盛んなため、そしていい人から悪い人までそれこそ多種多様な人で構成されているため、「どの人を信じれば自分にとって得策か」の判断力が日本人より鍛えられているので、信頼できる人に信頼するので、物事がうまく運ぶのだそうです。
  一方、日本人はその判断が、うまくできず、それこそ「振り込め詐欺」にも簡単に引っ掛かってしまう。そして、ますます疑心暗鬼になり、人が信じられなくなり、人と交わるのが嫌になり、インターネットのバーチャルな世界を信用してしまう、そしてまたインターネットにも・・・という悪循環にはまっているかもしれません。

 住人は人とのつながり(ネットワーク)がその人の財産であり、強力な武器であると思います。
価値観のちかい友人を多く作り、地域の情報はその信頼できる友人から得るのが得策だと思います。
そしてお互いにヒトを「観る目」を養うことが大切ではないでしょうか。そのためには世間と断絶していたら、「観る目」は養われないのではないでしょうか。

我が家の患者さんから、「先生と同じような考えの先生を転勤先でも紹介して欲しい」といわれることがよくあります。
 気心の知れた患者さんであれば、どのような歯科医を紹介すれば、喜んでもらえるかわかりますので、住人の旧知の歯科医のネットワークから、転勤先に近くの歯科医を紹介できる場合もあります。
今までにも、埼玉や京都、台北などの歯医者さんを紹介させていただきました。
(これを読んで、メールなどで、紹介を依頼されても困ります・・・その理由は 今までの当ブログを参考にしてください。)
 このことは歯周病のメインテナンスなど治療の連続性からいっても患者さんにとってメリットになるはずです。

 まず先に、あなたに合った信頼のおける歯医者さんを見つけましょう。
そうすれば、その先生はきっと転勤先での、あなたに合った(同じような診療方針を持った)歯医者さんを紹介してくれることでしょう。
 そうすれば、インターネットを過信してしまった結果、自分と合わない先生に会わなくて済みます。

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