SSブログ

患者と歯科医師の信頼関係 [歯の話]

 一昨日の事である。お見えになる患者さんが、口を揃えたように「先生!、今日の朝のNHKの番組ご覧になりました?先生がいつも言われるように、咬み合せって本当に大切なんですね・・・」
来る患者、来る患者である。
  住人の説明能力不足と不徳の致すところなのでしょうがないのですが、住人が長いこと説明してきたのに、ナカナカ信用していただけなかったことも、 NHKだと瞬時に信用していただけるのです。
ちょっとへこみます。   

さて、
長年我が家とお付き合いくださっている、高齢のご婦人が今年に入ってメインテナンスにお見えにならなくなったので、ちょっと気にかかっていたら、先日アポイントの電話があり、お見えになった。

 大腸癌を既に経験されている方であるが、年末のドックで、乳癌が見つかり、今年に入って右の胸を手術して退院してきたばかりだとの事、
義歯の調整をしながらお話をうかがっていると、リンパ節のひとつに転移が見つかったことも(本当の心の奥底までは計り知れないが)たいしたことでないように明るく話される。

「もうこの年になったら、何も怖い物はありません。」と完全に悟りのきわみに達した様子でお話くださった。
でも、 「右胸だとしたら、筋肉の加減などで、歯ブラシするのも大変でないですか」とお尋ねすると
「自分は手術前と変わらず手も上がるし、問題ない」との返事。

それに続いて、
「先生、私ね、お見舞いに来てくださった方からも言われるんだけど、いい先生に巡りあったのよ。大腸の方は大丈夫だけど、一応他も検査しておいたほうがいいと前の主治医の先生から言われて、言われるままにその日のうちにドックの予約して検査受けたの。そしたらね、しこりが見つかったのよ。
年末はちょっと忙しかったので、年明けてからの手術を受けたんだけど、今度の先生もとってもいい先生でね・・・。(どうやらイケメンらしい)」

続けて、
「私、今までいろいろな科にかかってきたけど、ほんとうに先生にだけは恵まれてきたのよ。歯科も含めて(これはたぶん社交辞令)・・・・」とおっしゃった。

彼女はべつに名医を探し求めてはいないのですが、自他共に医師に恵まれたと思って満足している様子。

  乳癌の治療で用いられるお薬の中には注意を要するお薬もあることをお伝えし、そのことの書いてあるパンフレットをお渡しして、また、定期的にメインテナンスにきていただけることをうかがって、診察を終了した。


このご婦人の話をうかがいながら、住人は歯科の専門誌に書かれていた 「50年以上の歯科臨床から見えてきたこと」という文章の事を思い出しました。
患者さんにとっても、若き歯科医にとってもってうんちくのある文書であると思うのでご紹介させていただきます。
すべてを書き写す余裕がないので、一部とその画像(クリックすれば拡大されます)をごらんください。

 50年以上の歯科臨床から見えてきたこと
Samuel C.Ursu,DDS,JD,MBA
Beverly Hills,Michigan

歯科疾患,歯科性外傷,あるいは先天性の歯の形成異常などの治療に携わってきた修復歯科医師であれば,治療努力の成果は患者の寛大さによるところが大きいことをよく認識しているはずである.
治療を成功裡に達成するには,患者が本気で心の底から協力してくれることが不可欠であることをわれわれ歯科医師は経験から学んできた.
そうした意欲のある患者はどのような治療であったとしても良好な結果を享受することが多い.
適切な協力関係を結ばずに治療を推し進めるならば,どのみちたいていの治療は失敗に終わるものである.
患者と歯科医師の信頼関係が成り立たなくなったら,患者は別の歯科医院へ転医するのが得策であり,歯科医師はその患者の治療をあきらめるのが最善の方策といえよう.

 治療方法が効果的であるということは,患者の心情と経済的余裕,さらには知的理解さえもが,術者の技量と融和しているということである.
したがって,どのような治療を行うにしても,患者,修復歯科医師,協力する専門医,さらにスタッフを含めた全員の対話による共通理解が不可欠である.
後略~

VOL19.1月 6ページ (Large).JPG

VOL19.1月 7ページ (Large).JPG

The International Journal of Periodintics & Restorative Dentistry
Volume 19,Number 1 ,2011
クインテッセンス出版

不信というのはストレスであり、信頼というのは実はストレスの軽減である。
医師の方から信頼関係が大事なんて言うのは筋違いでしょう。
 多くの人は内心、本当に信頼にたる医師を探し求めていると思います。
一方で信用するかどうかは 誰あろう、患者さん自身が決めることなのですが・・・

 先ずは住人自身(歯科医師)が患者から信頼され、尊敬され、心から「先生」と言っていただけるような歯科医師を目指さないといけない。

今の時代、人を信用するというのはなかなか難しいことかもしれません。そもそも「会社や学校、家庭などの、社会とそういった「関係」を持つことそのものがわずらわしい」と思っておられる方も多いのではないでしょうか。(このブログをここまでお読みの方はまずそうではありませんが・・・)
 「治療のツボ」は実は信頼関係だと住人も思っています。

>>>不信は高くつく
>>>日々に、あらゆる面で、私はますますよくなってゆきます
>>>気分と免疫はつながっている


nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0