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歯をまもる -金属の歯と白い歯- [歯の話]

  あくまでも住人の価値観であることをお断りしておきますが、住人は今でも自分の奥歯を治療するのであれば、極端に目立つところは除いて、ゴールド(金合金)による治療を望みます。
見た目は確かに目立ちますが、ほどほどの、硬さ(軟らかさ)、残っている歯とののフィット感、何年間も錆びたり、変質したりしない安定性、どれをとってもゴールドに勝るものはないと思います。お口の中でジルコニアが20年後にどうなっているかは誰も知りませんが、ゴールドだとだいたい想像できます。

 残念ながら保険で使用する金属(金銀パラジウム合金、以下「金パラ」)はゴールドの代用金属(本当は金がいいのだけれども高いので仕方なく用いている)です。
 今回は現在起きていることをお話します。(決して高額な治療を勧めるつもりはありません)
日本はデフレにあえいでいますが、世界的に金属の値段などは高騰していることをご存知でしょうか。金はもちろんですが、車の触媒などとして利用されている希少金属のパラジウムも住人が開業した頃では考えられないような金額になっています。

山荘 天水1

  厚生省は医療費を抑えたいので、保険の費用を低く押させようとします。
そして、現在では金パラに関しては逆ザヤ状態になっており、歯科医が金パラを使用すればするほど赤字になっているのです。

おそらく今後金属の値段が今より安くなることはないでしょう。そして、厚生省が金属代を十分補填してくれることもないでしょう。
 そうなると次に厚生省などの偉い先生が考えるのは今の金パラよりも安い(金やパラジウムなどの含有量の低い)代用品を開発することでしょう。
つまり、金の代用品の代用品の開発です。
ドンドン本来の理想的な金属から離れていくことでしょう。
(平成5年頃より我が家にお見えの患者さんには「今後、患者さんの負担割合が増えることはあっても減ることはないので早めに治療しておいた方がいいですよ」と注意を喚起しましたが、患者さんの享受できる保険の医療の質は今後ますます厳しくなっていくことでしょう。 )

  誤解のないように申し上げておきますが、奥歯の溝の中などの小さなちいさなむし歯に白いプラスティックの詰め物をするこは保険で認められた治療であり、全てを住人は否定しません。
しかしながら、白いプラスティックの詰め物やかぶせ物での治療にはメリットだけでなく、場合によっては、明らかにデメリットもあるのです。 奥歯にプラスティックを入れるデメリットは既に書きましたので、そちらをご覧ください

 近年、気のせいかもしれませんが、奥歯のかなり大きなむし歯の治療に白いプラスティックがたくさん入っている患者さんが多く見受けられます。特に若い女性です。
最近の若い女性はスリムですが、その反面歯並びに問題があることが多く、そのような患者さんが奥歯にプラスティックを入れることでかみ合わせにさらに問題が生じます。(このことはインプラントの治療にも言えることです。)
「かみ合わせ」の問題が更にお口のトラブルを引き起こすことは以前に書きましたのでそちらを参照してください


 患者さんの立場に立って考えれば、見た目の悪い金属を入れられるよりも、白いモノを入れられるほうがよいのは当たり前です。
 厚生省の立場も、金属よりもプラスティックのほうが保険点数が低く、医療費を抑制できるのでこのまま、見て見ぬふりをしていることでしょう。
 歯科医の立場では、金属を入れれば金属代は赤字、しかも高品質の日本製の技工物には高い技工料を払わなければならないのですから、出来れば金属にしたくない。しかも、金属を入れれば患者に嫌われ、白いプラスティックを入れれば喜ばれる。考慮の余地はないだろう・・・。

 でも本当にそうでしょうか。多くの患者さんは住人がこのような(金属とプラスティックのメリット、デメリット)説明を始めただけで怪訝そうな顔をします。
「私が前回受けた治療は優しい先生の、いい治療のはず・・・このひとなんかまたわけのわからん説明して、高額な自費でも勧めようとしよっちゃなかろうか・・・・?」て感じです。

では、グズグズ言わずに白いプラスティックを入れるべきなのでしょうか。

 でも、このようなことを続けていて大丈夫でしょうか。
お役人の言い分は「現在でも良質の医療が提供できている」ことになっているそうですので、今後も厚生省のお役人は「歯科医が勝手にやった」ということで、なんとか批判を切り抜けるでしょう。
 
「全て悪徳歯科医が悪い・・・」ということになったとしても、国民の皆さんの健康に降りかかって来る問題なのですが・・・。
もしも、患者さんの理解が得られれば、良心的な歯科医は多少赤字でも良質な医療を喜んで提供することでしょう。

「奥歯は見た目の悪い金属で我慢しなければいけない」ということを申し上げているのではありません。金属、プラスティック、セラミック、それぞれにメリット、デメリットがあることを申し上げたいのです。

 情報を発信しない歯科医の責任は重いですが、よいものを大事に長く使い、無駄を省き、持続可能な歯科医療にするためには、それぞれの方が歯科に関心を持っていただく必要があります。
 本当によい治療は景気のよい中国をはじめアジアの富裕層が受け、落日の日本国民は保険でそれ以下の治療に甘んじることに皆さんは「仕方ない」と納得されますか?
今の内閣のように、いいことばかり言って信頼を失うようなことにならなければいいのですが・・・
政治家の皆さん、歯科界の偉い先生方、是非ご一考くだされば幸いです。

>>>ゴールド Vsセラミック 歯の治療の材料は何が一番よい? 
>>>本当は怖い! 奥歯に保険の白い歯
>>>歯(噛み合わせ、虫歯)と肩こりの関係


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歯をまもる

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タグ:奥歯 白い歯
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