SSブログ

歯科との上手な付き合い方 [歯の話]

  「歯医者なんか生まれてこのかた掛ったことがない」といわれる方もおられると思います。そのようなハッピーな方は今までどおりでよろしいかと思います。今通っておられる歯科医院に十分満足されている方も、多いと思います。そんな方もノー・プロブレムです。
 でも、「歯医者さんに何度も通っているのに・・・・」と思ってらっしゃる方もおられるのではないでしょうか。

  ある技工士さんが「「歯医者さんに何度も通っているのに歯がぽろぽろとれる」と言っている人がいるので一度みてやってください。」と患者さんを紹介してくださいました。
  患者さんは 「私は小さいころから歯医者さんと縁が切れたことがなく、通っても 通っても歯が悪くなるんです」とおっしゃいます。
なるほど 多くの歯が治療されていますが、同時に年齢の割には多くの問題も生じています。残っている歯の本数が少なくなると加速度的に歯が悪くなります:注1)

たしかに歯科治療の成功率は100%ではありませんし、まだまだ今後解明し、解決すべき問題もたくさん存在します。
そして 歯科医に不信感を抱いてらっしゃる方も少なくないと思います。

以下の議論も「日本の歯科医の技術や倫理観に全く問題ない」、「患者さんだけに問題がある」といった偏狭な視点で議論するものではありません。気に障るようでしたら、世間知らずの住人の戯言と捨て置いてください。

 多くのヒトは歯に問題を抱えることなく生まれてきて、歯が生えてきます。(近年、顎の大きさと歯の大きさにアンバランスがあって問題を生じている若い方もいらっしゃいますが・・・)
そして 我々歯科医も「患者さんが生涯にわたって、おいしく食事ができて、会話やカラオケが楽しめ、笑顔で生活できる。」ことを目指しています。
それなのになぜ、そのような残念な結果となる方がいらっしゃるのでしょう。
海外の事情とどこが異なるのでしょう。

-048bb.jpg

 そこで皆さんに質問です。

Q1:お互いに信頼できて、腹を割って話ができる、かかりつけの歯医者さんを持っていますか
Q2:病気が悪化する前に歯医者さんに行っていますか
Q3:「麻酔が効かない」「痛みにビンカン」などの特殊な事情がなく適切な治療が出来ていますか
Q4:治療の中断や、治療の間隔があきすぎたりすることなく、最後まで治療できていますか
Q5:「毎回痛む歯だけ治療」といったやり方でなく、お口の中全体を考慮した総合的な治療計画の下に治療していますか
Q6:ご自分での日々のメインテナンスができていますか
Q7:定期的なお口のクリーニング(PMTC)をしてもらっていますか。
Q8:歯がしみる原因など、かみ合わせや、歯並び、歯周病の進行度などご自分のお口の問題点を理解し、納得できていますか

以上のことがしっかりできているにも関わらずどんどん歯が悪くなるとすれば、
本来、歯や歯茎、かみ合わせなどに問題がありトラブルを起こしやすい体質の方

「噛みしめ、歯ぎしり」など無意識に歯に過度な力がかかっている方

の可能性がありますが、
この最後の項目まで行くヒトは少数ではないでしょうか。

 我が家では治療後に歯の病気が悪化せずに何年もメインテナンスに通ってらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。
裏を返せば「しっかり治療をしてから歯のメインテナンスを行っていれば、健康を維持できることもある」ということです。(全員そうだというつもりはありません。)
  逆に、もし治療後もずっとメインテナンスで通院するお考えがないのであれば、インプラントや再生療法といった大掛かりな治療をしても、トラブルのリスクが上がりますので、再考をお勧めします。

 「小さいころから歯医者さんと縁を切ってはいけない」のです。
問題はそのかかり方です。
先進国と日本の決定的な違いはそのかかり方にあると思います。

欧米に比べ、歯科治療費は日本の方が圧倒的に安いのです。
欧米では歯科治療費が高いので、みんさん予防に関心があり、ある意味「必死」です。
日本の医療費は安いのですが、問題もあります。残念ながら、日本の保険医療制度は病気になってからでないと保険が給付されないのです。
  最後に政治家の皆さん、タバコ税の値上げもよいですが医療費を減らしたければ、病気にならないよう予防に予算を配分するべきです。歯科衛生士や歯科技工士が人気の職種になるような手当てをしてあげてください。 (医療費が減れば(みんな健康になれば)、年金給付に必要な費用は増加するかもしれませんが・・・・)

先日も、初診でお見えになった患者さんが「もっと歯のことを真剣に考えておけばよかったです・・・」と心からおっしゃっていたのが今も住人の心から離れません。

>>>理想的な歯の治療とは
>>>悪くなったらまた来ます
>>>定期健診(メインテナンス、SPT(Supportive Periodontal Therapy))ってなに?
>>>自分で自分の歯を痛める「ブラキシズム」
>>>歯(噛み合わせ、虫歯)と肩こりの関係
>>>歯が20本以上残る70歳以上の高齢者、病気診療費37%少なく

211ページ (Small).JPG注1)残っている本数が少なくなると、歯を失うリスクは急速に高まります。


タグ:歯科
nice!(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0