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水槽の中の嵐 [エッセイ]

 自宅のトイレで子供が熱帯魚を飼っていた。
 子供にせがまれて、ネオンテトラと数種類の水草、ヌマヤマトエビ(国外産?)などを熱帯魚屋さんで買って来て、飼っていた。

ぼろ屋なので、冬のトイレなど尋常な寒さでなく、子供たちが水槽の上からバスタオルをかけたりして温度管理をしたり、それなりに面倒を見ていた。

たまたま水が合ったのか、水草も茂るし、水槽の中の掃除屋のヌマヤマトエビは最高100匹くらいまで増殖したものの、約3年間 何とか水槽内の生態系は維持されていた。

2443896足立美術館

 今年のわっしょい100万夏祭りに娘と一緒に花火を見に行ったときのことである。
花火見物する場所を物色している途中に金魚すくいがあった。子供にせがまれるがまま、子供にお金を渡し、離れたところから見ていると1.5cmくらいの金魚が2匹、子供からすくわれていた。

よほど小倉城のお堀か、リバーウオークの水溜りにでも捨てようと思ったが、子供に言われるまま、ずーと住人が持ったまま、花火見物をし、自宅まで帰りついた。

嫌な予感がした住人は帰宅後も「川に捨てよう」と提案したが、家族全員の反対に会い。例の水槽で飼うことになった。1匹の金魚は水槽に入れてもらった直後からテトラを追いかけていた。
すでに弱っていたであろう、1匹の金魚は翌日には死んでいた。

残った1匹の金魚は相変わらずテトラを追いかけていたのだが、ある日水槽内の異変に家族が気付く。
あれだけいたエビが大から小まで数が激減していたのである。
そしてとうとう家内が、エビが食べられる現場を見ることとなる。餌に恵まれた金魚は日に日に成長し、可愛げがなくなる。

 今まで水槽内を浄化してくれていたエビがいなくなると、水槽の水草やガラス面に藻が繁殖するようになり、水も緑色がだんだん濃くなった。
今度は 緑色の水槽の中で、一匹ずつテトラを追い掛け回し、うろこをはがし、弱らせて、テトラが餌食になり出した。
ここまできても住人の忠告は聞き入れられることなく、

そして、ついに海老とテトラが0匹になった。

こうなると子供達の水槽への関心は急速に薄れ始め、ライトさえつけてもらえなくなった。水質汚染で薄黒く緑の藻の繁殖した薄暗い水槽の中をせわしなく泳ぐ不気味な金魚が1匹 。

生態系のバランスがちょっと崩れただけで、ここまで、環境が破壊されることを、子供達が心に刻んだのであれば、エビやテトラたちも浮かばれるだろうが、果たしてどうだろう。

今となっては唯一餌をくれる住人がトイレに入ると、緑の中から不気味な生物が餌をねだりにやってくる。

人間から見れば美しくないが、これはこれで水槽内の生態系は再構築されたのであろう。そして今のところ維持されている。

 

足立美術館


タグ:環境 金魚
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