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この世から病気はなくせるのか?2 [お勧めの1冊]

 住人は山奥のしがない一住人である。浮き草のように大河の流れには逆らえない。
世界有数の製薬会社などは、まさに世の中のトレンドという激流を自らに有利なように作ることが出来る。これは製薬会社に限ったことではないだろう。資本(金)を持っているものが、世界中の人のマインドまで操れる時代になりつつある。まさに「でっかいことはよい事」社会である。

 今回ご紹介する1冊は「うつ病が増えたから、うつ病の薬が売れたのか、うつ病の薬を売りたいから、うつ病の人が増えたのか」を検証しただけである。
デリケートというか過激な内容なだけに、誤解をうまないように十分解説したらこの厚さになったのである。筆者が相当慎重に議論していることがうかがえる。多分、筆者の言っていることは正しいと思う。

今回のお勧めの1冊
なぜうつ病の人が増えたのか (単行本)
冨高 辰一郎 (著)
• 単行本: 252ページ
• 出版社: 幻冬舎ルネッサンス (2009/7/10)
• ISBN-10: 4779004535
• ISBN-13: 978-4779004537
• 発売日: 2009/7/10
• 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.3 cm

2496775山口市清水時

 本書に反論される方は「潜在的な患者を掘起こしただけ」といわれるかもしれない。
確かにそうかもしれない。この薬を飲むことで、患者さんが幸せになり、社会全体にとって有益であれば異論をはさむ余地はないだろう。
筆者がこのような本を書くということはどうもそうではないのではなかろうか。  

筆者の精神科医、 冨高辰一郎先生は、 1963年大分県生まれで、 九州大学医学部卒
東京女子医科大学精神科講師をへて、現在パナソニック健康保険組合東京健康管理センターメンタルヘルス科部長をされてるそうである。

「はじめに」からの引用だが、
一般向けのうつ病の書籍には、うつ病患者の増加理由について次のように説明していることが多い。「バブル崩壊後の日本経済の停滞、終身雇用の終焉により社会不安が増大した。またグローバル競争の激化、ITの導入、非正規雇用の増加により労働者のストレスが増大した。こういった日本社会の変化を背景として、近年うつ病が増加している」・・・

住人も、おおよそ日本の社会構造の変化とそれに伴う精神構造の変化が原因と考えていたのだが、どうもそうではないらしい。
少なくともきちんと検証されていないそうである。
「しかもある病気の患者数が6年間で2倍に増えるということは、医学的にはかなりまれな現象」だそうである。

「おわりに」に筆者が書いているように、本書で伝えた内容を挙げると次のとおりである。
1、先進国では、SSRI発売開始後、うつ病受診者が急増するというグローバルな現象が起きている
2、うつ病の啓発活動が盛んになるにつれ、うつ病受診者やメンタル休職者が急増している。
3、軽症うつ病には抗うつ剤はそれほど効果がないし、自然に回復患者も多い。軽症うつ病には、最初から抗うつ薬を使ってはいけないという方針の国もある。
4、うつ病の治療には、安静が必要だが、同じくらいリハビリテーションも大切だ。
5、慢性うつ病の治療にとって必要なのは、自分は病気の影響下にあるという意識ではなく、むしろ自分は自分の行動や考え方を選択できるという感覚を取り戻すことである。

筆者が言っているとおり結論は上記のとおりなので、結論がわかれば読む必要もないという向きもあろうが、納得度が異なると思うので、一度手にとられる事をお勧めする。
前半がインパクトがあるが、実は4,5の項目が大事なことで、現在の日本に欠けているのではないかと住人は考えた。
特に医療を受ける患者さん、医療行政に関与している政治家の皆さんに読んでいただきたいと思います。

このカラクリでゆくと、ジェネリックがどうのこうのという議論はちんけなものに思えてきます。
あくまでも住人の感想ですが、お薬はたくさん出回っていても、「うつのリハビリ中」という人はあまり聞きません。患者さんはずっとお薬を飲み続けるのでしょうか。

本書は うつ病に限らず、現在の医療制度、いや医療制度に限らず世の中のからくりを示していると思われる。儲かる、あるい儲ける話には企業はドンドンのっかってきますが、決して慈善事業ではありません。製薬会社を非難しているわけではありません。インプラントや歯科材料メーカーに資本力と政治力があれば、きっと同様のことをしているでしょう。

 商品(例えば薬)を生産して、利益を上げることが目的の企業と、商品がほしいと思っている消費者のニーズが同じ方向を向いているのですが、その方向が正しいかどうかは不明です。また正しい方向なんて住人にもわかりません。
一方で本当にお薬が必要な患者さんがこのような情報を曲解してしまい、お薬を飲まなくなったり、医師と患者さんの信頼関係が壊れることも住人は危惧します。


唯一救われるのは、このような書籍が、世の中に出てきたことです。

当ブログを始めた動機のひとつが本書のようなことを一般の方に理解していただきたかったからです。今まで延べ、8万を超えるアクセスをいただきましたが、知恵足らず、言葉足らずの住人は その思うところが、誤解なく伝わっているかどうか はなはだ不安であります。

「何を信じたらよいかわからない時代」ですが、情報や人間を過信することなく、ほどほどに信じる能力が求められていると常々思います。「半信半疑」が健康的なスタンスだと思います。
もちろん住人の書いていることも半信半疑でお願いします。


タグ: うつ
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