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神の手 [エッセイ]

2496688 千手観音という菩薩様がおられます。
菩薩の詳しい説明は省略いたしますが、「千本の手は、どのような衆生(一般人)をも漏らさず救済しようとする、観音の慈悲と力の広大さを表している」と一般的には言われています。

 さて、脳神経外科の先生でよくテレビに出る先生は、確かに「神の手」をお持ちになっているのだろうと思います。
最近では手術の術野をビデオに録画できるので、それで番組が1本製作出来て、執刀医の解説付きで 素人が茶の間で手術の様子を見ることができるのです。
住人なども息を呑みながら、手術の様子を疑似体験しています。

鬼手仏心」と言いますが、これらの先生方の患者さんに対する思いと技術と胆力には本当に敬服します。
その「手」をもってして、命を救われた患者さんにとって、まさに「神様、仏様」に見えることでしょう。

しかながら、その2本の手だけではとても大手術には取り組めないことも事実だと思います。
 「神の手」をお持ちの先生方へケチをつけているのでは決してありません。住人などの及ぶところではなく、まさに神を冒とくするつもりはサラサラありません。
 ただ、「医師一人の手でなく、チームとして相当の数の手が手術にたずさわっており、それぞれの手に高いレベルが要求されるだろう」ことが言いたいのです。

瑠璃光寺

 手術場(ば)では執刀医のアシスタントから、麻酔医、看護師、手術機械のメインテナンス担当にいたるまで裏方の多くの手がその手術に携わっていることでしょう。
そのチームの総合力が千手観音のような「神の手」になっていると考えます。
 それぞれの「手」のレベルが高くないと高度な手術は維持できません。メンバーの中に、そのレベルにそぐわない「手」しか持ち合わせていない人がいたとしたらどうでしょう。総合力はそのメンバーによって押し下げられることでしょう。
そうなると神の手もうまく動かなくなるのではないでしょうか。

ところで、
あなたの通っている歯医者さんはあなたの治療のためにいくつの「手」を使っていますか?
通常4本(ドクターとアシスタント)でしょうか。

 医科は知りませんが、日本の歯科医療制度では、患者さんにたずさわる手が2本(ドクターだけ)だけであろうと、6本(ドクター+アシスタント2名)であろうとその質が高かろうと低かろうと健康保険で支払われる額は同じです。

企業の論理で コスト削減に努めるには、手の数(人件費)を減らすのが一番手っ取り早いのですが、医療の場合、「手」を減らすと患者さん自身のリスクが上昇することも国民の皆さんには理解してほしいところです。良質な医療を提供するためには多くの「手」が必要です。

住人のような者が千手観音になるのは無理だけれど、優秀な手に(スタッフ)に囲まれているので本当に幸せです。阿修羅くらいになれるだろうかと院長室に飾ってあるフィギュアを見ながら考るのでした。

>>>安全とコスト

 


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