進歩４

　先日スーパーでなつかしの「ココナッツ・サブレ」が98円で売られていました。住人の大好物であり、「ヤス！」と思いよく見ると箱の長さがみょーに短くなっていました。（昔ほど枚数が入っていない）
この手のことは、近年多くの商品で見られることです。

　パソコンのルーターやプリンターを購入した時も感じたのですが、驚くほど安い商品があり、「技術の進歩と企業努力で価格が安くなったのか」と思い、購入すると「商品のレベルも以前持ってたものより劣っていて安いだけ」ということが結構あります。
パソコンや周辺機器の値段は10年前と比べると2年前くらいまでは高性能の商品が格段に安く購入できるようになっていました。住人がパソコンを始めた頃はパソコンを含め周辺機器が高額でした。パソコンが急速に普及し、販売台数が増加するに伴い、技術革新と企業努力による低価格化だったと思います。
ところがここ2年くらいは、超不景気だからか、性能を以前より落として安くしている商品が目に付きます。

　グローバルな時代に、多くの国では日本ほど高性能を望まずに、安い商品を希望する消費者の数が多いからでしょうか。
例えば、インドの約20万円の大衆車は最初から左側のドアミラーがないそうです。
これは進歩でなく、レベルを下げて値段を安くしているだけです。

大山寺山門

　「多少性能が悪くても安いほうがよい」という消費者のニーズが存在するから商品として売りに出されていることは間違いありません。
しかしここで問題なのは　メーカーが、商品の性能を落として昔の商品ほどのスペックは出ないことを隠しているように思えることです。
メーカーとしてはどんどん新しい商品を発売し続けないといけないのですが、技術革新やコストカットはそんなにやすやすと出来るものではありません。

　一方、どんどん新商品を出し続けないといけないメーカーの宿命のため、進歩には次のような一面もあります。
それは、「メーカーが言うとおり確かに進歩しているのだが、その進歩によって実用に耐える商品になったかどうか、また便利になったかどうかは別問題」ということです。

住人の業種でも、近年オールセラミックが脚光を浴びています。
例えばジルコニア製のオールセラミッククラウンなどです。
メーカーのうたい文句は「見た目が綺麗で、強度が以前の商品に比べてXX％アップしました。」といった具合です。

　実はオールセラミック（ジャケットクラウン）は約20年くらい前からありました。（その前からあったが、強度の問題でほとんど使われることはなかった）
新し物好きの歯科医は新しいものが出るたびに飛びついて、患者さんに紹介してそのたびに痛い目（割れるなどのトラブル）に見舞われていたはずです。
そしてまた、メーカーは「今度のは大丈夫です。」といって新商品を紹介します。
そんな歴史が20年くらい続いているのです。

　昔の商品に比べて進歩したのは間違いないので、メーカーが言っているのはウソではないのですが、その影で、よいことばかり言われていたのに消えて行ったり、名前を変えたオールセラミックの商品が多数あることも確かです。
その点、半世紀以上の歴史がある　金属焼付ポーセレンクラウンはその歴史がその安定性を証明していると思います。

この手のことは歯に詰め物をするときの接着剤（ボンディング材）や詰め物（コンポジットレジン）やかぶせ物をセットするときのセメント、インプラント、ホワイトニングなどの材料など、例を挙げればキリがありません。

今度の商品はよいですと言われ、半年後に新商品を出されると　なにかだまされたような気がします。
メーカーさんには「一度発売したら、数年はモデルチェンジしない。それくらいの自信作です。」位の気概がほしいものです。

少しでも最新のよいものを患者さんに提供しようと思うあまり、メーカーに振り回され、最新のものを追い求めるとかえって患者さんに迷惑をかけることもあります。試しに新商品を使ってみたが、結局昔の商品に戻ることなどもあります。

　世の中をブレークスルーする進歩や技術革新とはそう簡単に出来るものではありません。
賢い消費者になりたいものです。

注；接着技術や材料は確かに進歩しているのでオールセラミッククラウンでもうまくいく症例もあります。オールセラミッククラウンを否定しているわけではありません。住人が毎度申し上げているように、それぞれの治療法には長所と短所が必ずあります。金属焼付けポーセレン（メタルボンド）クラウン、オールセラミックジャケットクラウンそれぞれに長所と短所があります。そのことをかかりつけの歯医者さんと十分相談した上で、納得されて治療を開始ししましょう。

参考HP
>>>日本歯科医師会HP　
>>>ゴールド　Ｖｓセラミック　歯の治療の材料は何が一番よい？
>>>歯を白くしたい

 

 

 

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