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理髪店と美容院 [エッセイ]

 我が家には理髪店を経営されている方も数名お見えになるし、美容院を経営されている方もお見えになる。だから、どちらがどうとかコメントしにくいのであるが、どうかお許しいただきたい。

 住人は大学時代と大学病院勤務時代を除くと、ずっとひとつの理髪店のご厄介になっている。若い頃パーマをかけたこともあるが、それも理髪店でやってもらう方が好きである。
大学時代に都会のおしゃれな美容院も行くには行ったが、田舎者のダサ男にはなんとも居心地の悪いところであった。
2368679そしてなによりも、美容院では顔や首すじを剃って貰えないので、髪を切った気がしないのであった。

住人が子供の頃から通っていた、理髪店は旧国鉄の弘済会かなにかに所属する理髪店で、当時は国鉄の線路に面して建っていた。
 当時の国鉄はのんびりしたもので、作業着を着た国鉄マンが勤務中であろう時間に散髪をしていた。
住人は順番を待つ間、汽車や列車が通り過ぎるのを眺めるのが楽しみではあったが、散髪そのものを喜んでいたような記憶はない。

大学時代に美容院に行ってはじめて、理髪店のよさを再認識したのである。

                                        法輪寺 三重塔 飛鳥時代 わが国最古の三重塔 国宝

 

 住人がまだ小さい時分は今の大将の先代のおじいさんが散髪してくれていた。
天井からバリカンが数種類ぶら下がってあり、髭剃り用のナイフを研ぐ牛か何かのなめし皮のようなものが鏡の横にかけてあった。
後ろには蒸しタオル用の釜から湯気が出ていた。通常の散髪する椅子の上にさらに子供を座らせる専用の椅子なども用意されていたし、そこにある漫画は楽しみだったが、子供が見てもどうも頑固オヤジの職人のような先代には恐れを感じていたように記憶している。

小さい時は当然髭は剃らないが、刈り上げた首筋やもみ上げの部分などはかみそりを入れてくれていた。
今になって考えると、不意に動くかもしれない子供に刃物を当てることは高い技術がないとできないワザであろうし、お客さん(保護者)との信頼関係がないとやってられない。
親がモンスターペアレントかも知れない今の時代 無理なことかもしれない。
しかし、そうやってもらうと気持ちが良かったし、 散髪が終わって、帰宅すると、うちの母親など見事に刈り上げられた後ろ髪を見て、「さわらせてー」とさわってきたものである。

また、初めてひげを剃ってもらった時は、何かしら気恥ずかしい気がしたのを覚えている。

昔は、女の子の「わかめちゃんカット」など理髪店でされていたようだ。
我が家の患者さんで、お父さんだけでなく、女性も家族ぐるみで、ある有名な理髪店のファンという方もおられるが、現在では 男性が美容院に行くことはあっても、女性が理髪店で髪の毛の手入れをしてもらうことはほぼないのではなかろうか。

理容師と美容師はその業務範囲はほぼ重なりつつあるのだが、現代でも理髪店は大将と弟子の徒弟制度の匂いがするし、一方、美容院は逆に若い女性ばかりのソフトな感じであるが、何となく頼りなく感じる。

理容師が女性の髪を扱ってもよいし、美容師が男性の髪を切ってもよいのだが、住人が思うに、
やはりカットの腕や顔を剃ってくれるときの手触りなどは理容師の方がうえだと思う。
しかしながら、理髪店のご主人の話によると、美容院の数は増えているが、理髪店は減っているそうである。

聞くところによると、今頃の若い男性の望む髪型は、高いレベルの技術は要しないそうである。腕の良い職人たちにとって、中の髪をそいで、髪の毛を立たせたりすることはわけない事らしい。しかし、最近は男の子でも美容院だそうである。
理髪業も衰退業種なのだろうか?
いつもの癖で考えた。「なぜなんだろう」

答えを出すのにそれほど時間は要しなかった。
現在の世の流行と家庭状況を考えれば、明白である。
今の時代、子供だからといって、坊主や刈り上げはほとんど見ない。
核家族で、子供の髪型は母親の好みで、決定され、父親が、息子を散髪にわざわざ連れて行こうとしないからであり、母親にしてみれば、今まで行ったことのない理髪店の敷居をまたぐより、行きつけの美容院で、自分の髪の手入れのついでに、子供の髪も一緒に切ってもらう方が手間が省けるからであろう。

最近の男の子たちは顔を剃られて一皮剥けたような心地よさを知らずに人生を終える可能性大である。なんとかわいそうに。
そして、理髪店は美容院に取って代わられ、腕の良い職人たちは消えてゆくとしたらなんとも悲しいことである。何よりも住人自身の行き場が無くなる。

中井君だけでなく、キムタクを坊主にしてでも、一大キャンペーンで理髪店をはやらせましょう。
「キレイに刈り上げられた首筋がセクシー」という価値観を復活させましょう。理容学校があふれるくらい生徒があつまって、美容師でなく理髪師になりたい人が増えるよう。
歯科界も人ごとではありませんが、理髪業界の皆さん!がんばってください。

昔と同じ蒸しタオルの釜がシュン、シュンいって、ひげを剃るためにスタンバイしている。
先代と違って、物腰は柔らかく、話題も豊富で、座っているものを飽きさせず、キッチリ2時間をかけて、チョキ、チョキ、チョキ、よい仕事をしてくれる。代は変わったが、現在の大将も職人気質なのは変わりない。

住人はやはり、散髪屋さんがイイ。 (美容院の皆さん、ゴメンナサイ。)

参考HP
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%86%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E5%B8%AB

 

法輪寺


タグ:理髪店
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