信じるものは救われる

　長野県の善光寺が7年に1度のご開帳だということで、お参りしてきた。
朝7時に門前に立つと、すでに仁王門の手前の石畳まで数百メートルも大回向柱（だいえこうばしら）に触れるための行列ができていた。善光寺さんを甘く見てました。恐るべし善光寺。平素は簡素な一地方都市だろうことが推測できる町の大きさであるが、今日はどうも異様である。

住人は本堂に安置される御本尊一光三尊阿弥陀如来の前立本尊を拝むために来たので、本堂の内陣（畳敷きの間）を拝観する「内陣券」を500円で購入して、内陣参拝の列に並ぶことにした。
小一時間並んで待ってる間に考えた。

住人が考えた神社仏閣の分類の「１．テーマパーク的寺院」だな。しかしT.D.LやU.S.Jのなかった大昔は大きなお寺というのはどこも当時の人にとってテーマパークだったのかもしれない。
お戒壇巡りはアトラクションそのものだな・・・
門前のおみやげ物屋さんはお寺が栄えると自分たちも潤うので、同じ方向のベクトルを向いているな・・・
ご本尊の絶対秘仏はよしとしても、ご本尊の代理役の前立本尊は7年に1度などもったいぶらずに、なぜ毎日ご開帳しないのだろう。・・・毎日ご開帳していたら　有り難味とイベント性がなくなる。時々チラッと見せて、行列ができることがその神秘性と権威をより高めるために大切なんだな・・・
大回向柱にさわるのはタダだが、かなりの時間行列に並ばないといけない。
内陣に入るためにはお金がかかるし、大回向柱ほどでないが並ばないといけない。
同門の門徒さんや祈願のための費用を出した人はあまり待つことなしにさらに近くでご本尊を拝める。・・・やはり地獄の沙汰も金次第。万人を等しく救済してよ。
わざわざ拝みに来ておいてなんだが、そもそも宗教というのは大なり小なり「怪しい」ものである。（最初は純粋だったかもしれないが、大きくなるに従い周囲が怪しくするのかもしれないが）

善光寺

そう考えると宗教とは一体なんだろう。
住人は
「この3次元世界あるいは宇宙以外に別の空間や仕掛けを設定し、その空間や仕掛けによって苦悩（生老病死など）が解決できると信じることで、人が生きていくうえで、科学的、理性的思考では解決できない苦悩と折り合いをつけて生きていくためのシステム」と考える。（禅宗は宗教にすら何かを求めてはいけないようだが、下衆はやはり救われたいから宗教に向かう）
であるから、「現在自分の置かれた状況に何も苦悩がないヒト」には宗教は必要ない。（住人以外の家族は宗教を必要としておらず、住人の行動が理解できずに冷笑している。）
その性質上「信じるものは救われる」のであって、このシステムを信じない者の心が救われることはない。「鰯(いわし)の頭も信心から」である。

一方、大人の世界では、宗教や政治の話は個人的な信条の問題であり、話題にするのはタブーとなりがちである。
信教の自由から、日本の教育では、一部の私立の学校を除き、宗教が学校で議論されることはない。
そこで、現在の日本の社会では宗教はあまり表に出て議論されることはない。

　しかし、中世ヨーロッパのキリスト教社会のように世の中が停滞し、景気が悪くなり、世の中が乱れると宗教が必要とされる世の中が必ず来るだろう。これから不況がどれだけ続くか解らないが、これから日本も宗教がブームな時代が来ると住人は考えている。

　大きなお世話であるが、今まで宗教と全く接触してなくて、免疫のない人が窮地に立たされた時に、高い壷を買わされたり、サリンをまいたりする過激な集団の餌食になることが起こりはしないかと非常に危惧する。
これらの集団は宗教の1面が先鋭化した集団であり、先ほども述べたように宗教というのは大なり小なり「怪しい」ものである。科学で証明できない次元をあえて設定しているので、非科学的で、理不尽なものである。

「宗教のもつ怪しさ」に旧来からあるマイルドな宗教集団に接触することで理解し、免疫をつけておく必要があると思う。
信じるものは救われるが、急に、あまり過激に妄信するのも感心しない集団の罠にはまりやすいような気がする。

論理的にはおかしいが、宗教の怪しさを理解したうえで、落ち込んだ時などに、自分の心に折り合いをつける仕掛けとしてほどほどの「宗教」を持っていて心の安寧を得るために利用することは良いことだと思う。

　しかし、「これだけT.D.Lのように管理された大行列で流れ作業的に待たされると宗教性は薄れるな・・・」などと 罰当たりなことに考えをめぐらすうちにやっと目の前にご本尊が見えた。

「無病息災、家内安全、交通安全、先祖供養、子孫繁栄、・・・・」勝手なことをぬかしながらも、ご利益をいただくために手を合わせていた。
誠にいい加減なものである。

 

 

善光寺

タグ：善光寺 宗教

コメント 1

驚愕の事実！！ほんとにアツイ♪
by セフレ (2009-09-27 18:16)