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「あなどれない 歯周病の新対策 最新の治療」を見て [歯の話]

 昨日夕食後にふとテレビをつけると、NHKの「今日の健康」で「あなどれない 歯周病の新対策 最新の治療」と題して歯周病の話をしていました。
住人も我が家で再生療法に取り組んでいるので、ついつい見入ってしまいました。
再生療法に関する私見は過去に当ブログで述べているので割愛させていただきますが、今日はその番組の感想を述べさせていただきます。

 番組の対象は歯科に関して全く素人の皆さんであり、その意味ではわかりやすい構成になっていたと思います。
住人も再生療法を否定しませんし、歯科医療の進歩、歯周病治療の進歩を皆さんにお知らせするのは大変良いことです。
いまだに我が家を始めて来院される患者さんで、「いままでも歯周病で悩んでいたが、こういう検査や説明、治療を受けたのは初めてです。」とおっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。この番組をご覧になった方が、歯科治療や歯周病の治療に関心を持っていただき、歯医者さんの門をくぐる動機になるのであれば、それはその方にとって大変メリットがあると思います。
 しかし、番組中でも講師の伊藤公一先生が「症例によって結果は100%ではない」こと、「詳しくは歯医者さんで相談してほしい」ことなどコメントしておられましたが、十分伝わっていないのではないかと少し危惧します。そこで、少し補足させていただきます。

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長谷寺

 まず、番組ではGTR法とエムドゲイン(エナメルマトリックスたんぱく)を用いた再生療法が紹介されていました。
GTR法などいうと、車好きの方にはスカイラインのようなカッコイイ治療法をイメージしてしまうかもしれません。スカーっと治りそうですね。
ここに最初のいくつかの問題点があります。
これらの再生療法はその前に十分な前準備が必要であり、いきなり歯医者さんで「再生療法してください」「はい、じゃあ今からしましょう」というような治療ではありません。出来ないことはありませんが、結果は保証します。それではまず失敗します。
 再生療法を行うには、まずご自身でのお口の清掃習慣を確立して、清潔な状態が保てていること、そして、歯科医師や衛生士が歯石を取ったり場合によっては一度歯周外科処置を行ってからになります。次に、ご自身が自覚できるような水平性の骨吸収が起きている重度の歯周病では結果は思わしくないのが現状です。それはエムドゲインも同様です。
さらに歯周病の治療の本体部分は、患者さん自身によるプラークコントロールと歯科医や歯科衛生士による歯周ポケット内の清掃、そしてかみ合わせの治療であることには再生療法が取り入れられた現在においても変わりがありません。
 残念なことは、講師の先生が、ご自身の症例を提示されなかったことです。素人にもわかるようなプレゼンテーションでぜひとも症例を提示していただきたかったです。裏を返せば、中等度、重度の歯周病で、素人の方にもわかるような結果を出すのは難しいということではないでしょうか。
現時点では歯周病がスカーッと一発で治るような治療法ではありません。

 次に番組ではGTR法は健康保険で治療可能ということでした。確かにそうです。今年の4月から保険に導入されました。ところが、保険でGTR法を行うのは現状では難しいと思われます。「エ?」と思われることでしょう。
簡単に説明すると、
これは最近の厚生省のやり方ですが、厚生省の目的はただ、「国民医療費の国の負担分を減らしたい」です。
そこで、様々な規制やほぼ赤字のような給付点数にして、歯科医に治療をさせないように仕向けているのです。そのうえで厚生省の言い分は「保険適応してあげている(保険がきく)のに、歯科医が実施しないだけ」。
これではさも、歯科医師が悪者です。実際問題としてGTRに使用する膜にしても、人工骨にしても、保険の点数(医療機関に支払われる額)よりもその材料の購入実額のほうが高く、保険の点数では材料すら買えません。(公立病院の歯科が赤字で、閉鎖される傾向にあるのはこういうことに一因があると思う。)この現実を講師の先生はご存知なのでしょうか。
国民向けには保険で認められるようにアピールしておいて、実際は無理難題を歯科医師に押し付けているのです。そのことを反論できないくらい歯科医師は官僚や政治家に対して無力化しているのです。ただし、歯科医師に問題がないわけでもありません。再生療法がさも100%成功するような説明で勧めてくる歯科医師やメリット、デメリットを十分説明せずにいわば患者さんの言いなりで治療する歯科医師もいるかもしれません。
せっかくの高度な医療なのに、こういうやり方では正しく普及するはずがありません。
そして、結果的に国民の皆さんの歯科への不審だけが残るような気がします。このことが住人は大変残念です。
番組では健康保険でGTR法は治療可能といっていましたが、現実問題として患者さんがGTR法を希望されたときに、まじめに取り組んでいる歯科医は自由診療と言うかもしれません。

再生療法を行っている歯科医は、皆さんご自分の行った症例をデーターとしてもっていますので、一般的な商業的パンフレットでなく、過去その医院で行った症例で判りやすく説明してくれるはずです。
>>>歯科治療のX線(レントゲン)撮影の重要性
そして、長く歯周病のメインテナンスをしてくれているかかりつけの歯医者さんに相談することをお勧めします。なぜなら、歯周病の治療の場合メインテナンスが大変重要になりますし、再生療法を行った歯科医にメインテナンスしてもらうのがベストです。信頼できる歯科医にアドバイスしてもらいましょう。

日本だって中国と同様「お上」を批判するとろくなことにならないのに、少し脳みその足らない住人はまた書いてしまいました。国民の皆さんから信頼される歯科界になることを願ってやみません。

日本歯周病学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsp2/index-j.html
日本臨床歯周病学会
http://www.jacp.net/jacp_web/index.html


NHK健康ホームページへ
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archive/2008/0915/index.html
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archive/2008/0916/index.html
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archive/2008/0917/index.html

NHK健康ホームページ治療法、専門医を探す。へ
http://www.nhk.or.jp/kenko/2001/kensaku/index.html

奈良総本山・長谷寺

「歯科」本音の治療がわかる本新版
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