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ゴールド Vsセラミック 歯の治療の材料は何が一番よい? [歯の話]

 住人がテレビを見ているとどうしても出演者の口元に目がいってしまいます。 マラソン選手などでも、外国人は白くてきれいな歯並び、まさに「明眸皓歯(めいぼうこうし)」。一方日本人は銀が入っていたり、前歯が不自然だったり、歯並びが悪かったり、顔が左右非対称だったり(たぶん片方奥歯がないんじゃない?とか、)・・・にぎやかですが、ガッカリです。芸能人も同様です。口元の美しさへの気配り度は日本はかなり後進国でしょう。

 歯の治療をするときは保険(健康保険)給付が可能な材料かどうかがいつも問題になります。患者さんにとっては、すべて保険で治療できればよいのですが、現実はそうなっていません。これは歯科医の問題でなく政治の問題です。
 保険と自由診療(自費)の違いは 実は材料の違いだけではないのですがココでは省略いたします。
>>>保険の治療と自費の治療
保険が「きく」とか「きかない」は別として、お口の中に入れるのにはどのような材料がよいのでしょう。

聖林時にて

 

 歯科で使用する材料は大きく、プラスティックと金属、そしてセラミックに分けられます。ベースが金属の入れ歯(金属床義歯)は保険で出来ません。貴金属もセラミックも保険の歯の治療にはつかえません。

 プラスティックはそこそこ歯に似た色で、ごく小さな虫歯の詰め物に使用するものは保険で認められています。プラスティックですべて歯をカバーするクラウン(硬質レジンジャケット冠)タイプのものは安くて、しかも最初は歯の色に近いのですが、奥歯への使用は基本的に保険で認められていません。 その理由は強度に問題があり壊れやすいこと、そしてなにより、磨り減りやすく噛みあわせを維持できない、つまり、医学的にはふさわしくない治療なのです。それでも「安くて、見た目が良いものが患者さんの希望」であれば別ですが、我が家ではお勧めしていません。残念ですが、保険では見た目(審美性)まで面倒を見てくれませんので、奥歯(犬歯より後ろ)は銀になります。

 プラスティックも材料的にかなり進歩してきていて、保険で認められていませんが、「詰め物や冠として使用できる強度や性質」とメーカが言っているものが出来てきました。他のセラミックや貴金属に比べ安価ですが、基本的に「磨り減りやすい」、「汚れや着色、変色しやすい」、「不安定な高分子有機物質である」ことはまだ改善されていませんし、セラミックとは大きな開きがあります。 

 金属は保険で認められた銀を主成分としたものと貴金属があります。貴金属の代表であるゴールドは「錆びない」、「エナメル質より固くなく」、「よく伸びるので残っている歯と隙間が出来にくい」ので、最高の歯科材料といわれてきました。しかし患者さんによってはその金属色を嫌われます。山奥の住人にとって「見た目」は関係ありませんので、住人は大学卒業後、自分の奥歯の治療にはゴールドを用いています。保険の金属は理想的な材質ではないけれど、ゴールドが高価であるために仕方なく使っている代用金属と考えてください。(悲しくなりますが、現在の保険制度を恨んでください。)

 金属アレルギーのある方はわずかな金属でも重大な問題になります。ピアスやネックレスに加えお口の中の金属による金属アレルギーのかたもいらっしゃいます。>>>金属アレルギについて



 セラミックは錆びず、汚れにくく、生体に親和性(金属アレルギーは起さない)がある、周りの歯と同じようにあわせることが出来る利点がありますが、かけやすい(ウエッジ・ウッドのカップも乱暴に扱うと欠けますよね!)という難点がありました。現在では接着技術の進歩で歯と一体化させることでかなり割れにくくなりました。
金属のいいところとセラミックの良いところをかね合わせたものでメタルボンドクラウンと言うのがあります。金属の上に陶器をやきつけた七宝焼きのようなものイメージしていただければよいと思います。半世紀近い歴史があり、前歯の治療には保険外ですがよく用いられています。

住人の結論:現時点で、見た目がどうしても気になる部分は 汚れにくく、美しいセラミックがお勧めです。見えないところや見た目を気にされない方はフィットも良く、金属アレルギーも起しにくく、適度な固さがあるゴールドがお勧めです。小さなむし歯の場合はプラスティックを詰めておいて様子を見るのがよいでしょう。

でも一番いい材料はご自分のエナメル質と象牙質です。歯は大切にしましょう。

>>>歯科治療と価格

聖 林 寺

家庭の歯学


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コメント 1

not_so_bad_one

本文を書いて10年が過ぎようとしております。
その間、新しい材料(マテリアル)による治療法が健康保険に導入されております。確かに材質の進歩は見られますが、本質は変わるものではありません。セラミックによる治療は健康保険では認められておりません。
従いまして、特に論旨を変更する必要は認められません。
馬寄村の住人

by not_so_bad_one (2018-01-13 08:18) 

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