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世の中のからくりについて考える4~医療と真実の情報~ [世の中のからくり]

今日も重たい話題です。今回で一区切りにしたいと思いますので、ぜひ皆さんにもちょっと止まって考えてみていただきたいのですが、重たい話の嫌いな方はパスしてください。
前回までに現在の企業は、消費者に商品を購入してもらうために コスト削減と多少無理のある経営をしてでも低価格にして、しかも利益上げることに汲々としており、そんな企業が消費者に商品を購入してもらうひとつの手段が広告(情報)である。そして情報そのものもマスコミの商品である。したがって必ずしもこれらの情報が真実を伝えているわけではないことを述べてきました。


住人の大切な頂き物



 大学の情報さえいろいろフィルターがかかっています。大学の研究論文にすらそれぞれの関係者の利害関係が渦巻いているからです。

 最終回の本日は医療と情報について考えます。現在のところ医療機関が広告することは厳しく制約されています。おおむね診療科目、診療時間、院長の名前くらいしか看板にも掲載できません。 このことが新しい情報ビジネスモデルを生み出してきました。当院にも、「正しい情報の提供、クリニックのPR、先生ご自身のグレードアップに」単行本を出版しませんか。」とか、「週刊文○ですが、インプラント治療特集をしますので、広告を出しませんか」とか、「朝○広告社ですが、××大学の○○教授に座談会形式で語っていただき、新聞に載せますので広告をお願いできないでしょうか。」とか、フリーペーパーのリXXXですが、医療特集をしますので、おたくの医院についてお話いただけませんでしょうか。」とかダイレクトメールやFAX、電話がよく来ます。自分の自慢話をしているわけではありません。また、そのようなところに掲載されている人や医療機関を誹謗中傷するつもりもさらさらありません。

 皆さんに知っていただきたいのは,実はこれらは表向きは記事としてメディアが取材したような振りをした広告であることです。週間文○に載っている病院というと何か特別な病院のように受け取れますが、何も編集者が何かの判断基準(例えば腕がよいとか)で選択されて掲載されているわけではありません。 単行本にしても、出版社が企画立案したものもあるということです。
つまり、これらすべてが出版社や広告社の持込による企画で、すでにビジネスになっており、それぞれの利害関係と思惑で成立していることです。上記のようなオファーが我が家にくるのは何も住人が名医であるからでもありませんし、それなりの料金を払わないと載せてもらえません。ある大手新聞社の子会社の広告会社などは執拗に電話で勧誘してきます。このことは、テレビや新聞ですらメディア企業が利益を出すための商品として、皆さんに情報を提供しており、しかも提供される情報の中身も実は医療機関などが広告料を払って出しているものが少なくないことの証左です。歯科医師会の主催の事業などはほぼ会員のボランティアですので例外として、それ以外の番組や記事などで非営利目的であるものは皆無ではないでしょうか。
そして、テレビですら企業として利益を出すためには視聴者の耳に心地よい情報に加工して商品にしているだけです。テレビや雑誌の特集や単行本とはその程度のものであることを理解していただきたいのです。

 ではどこに真実の情報はあるのでしょう。その前に皆さんは真実を本当に知りたいですか。
 たとえば教育問題を例にしてみましょう。教師はかなり非難の対象になっていますが、児童や、保護者が槍玉にあげられることはほとんどありません。それは情報という商品の消費者の多数派が保護者側だからです。マスコミは大衆を敵に回せばその人たちは自社の商品(情報)を買ってもらえないことを知っています。つまり企業(行政、マスコミを含む)は自分たちに都合がよく、消費者にとっては耳ざわりのよい情報しか流しません。「歯周病の予防には日々の歯磨きが大切」といっても消費者は振り向いてくれませんので、「電動歯ブラシ」がうんぬんかんぬんという情報になってしまうのです。
 製作側に問題がありますが番組は視聴率によってフィードバックされた多くの皆さんが望む番組だということです。 真実は皆さんにとって必ずしも心地よいものではないかもしれません。

 このような様々な企業が利益を生むための事柄は世の中の「からくり」として決してなくならないでしょう。
 住人も医療という「もの」と「サービス」を消費者の皆さんに提供することを生業として生きさせていただいている以上、繰り返し言ってきましたが、利益追求や広告宣伝を否定するものではありません。 医療機関だって利益を出さないとやっていけませんので、多くの患者さんに来てもらう手段として広告はあります。そしてさまざまな経営方針の企業(医療機関を含む)があってよいと思います。
ただしそこから受ける物やサービスに納得して購入していただきたい。偽装のマンションを購入した人には悪いですが、あのように後から後悔するようなことは決してしないでほしい。
皆さんが「新聞に載っていたから信じたに・・・」とはなってほしくありません。
安くて、快適で、丈夫で、長持ち・・・そのようなおいしい商品はもともとないと疑ってかかったほうがよいでしょう。「無料」といった心地よい言葉にはからくりがあると思ったほうがよいでしょう。
いろいろ情報を手にするときは、
1、世の中いろいろからくりがあることを踏まえた上で、
2、権威や情報源の大きさに惑わされることなく、
3、メディアやネットは間接的なものであり、信用できるかどうかは疑問であること
などをふまえたうえで、
それでもすべてに疑心暗鬼になるのではなく、いろいろな意見を参考にしたうえで、一度決めたらしばらく信じて、目の前のDrのいうことなら、多少自分の耳が痛くてもついてゆく。
そして最終的には自己責任で結果が思い通りにならなくても「ま、いっか!」位で済ませることが精神衛生上よいと思います。目の前にいるドクターと患者さんとの信頼関係以外に救われる道はありません。
 医療側に問題がないわけではありません。ドクターハラスメント、医療の情報開示などまだ、様々な問題があります。これらを乗り越えてほんとに患者さんと医療従事者が信頼できる、カルテなど開示しなくても、「患者様」でなくても「患者さん、先生」の関係で、「あの先生のことは信用している。」と言える、言われるくらいの信頼関係のある。「本物の時代」が住人の目の黒いうちに来ることを願ってやみません。

 第1回でお尋ねしましたがもう一度。貴方は赤ひげ医師を望みますか、おしゃれな企業的医師を望みますか。
企業や行政は情報をコントロールしようとしますが、それよりも(行政や政治も含めて企業活動の)消費者としてのそれぞれの日本人の総意によってこれからの日本が決まってゆくことだけは間違いない「世の中のからくり」と言えそうです。

あとがき

今回4回にわたって少し重たい内容でしたが、皆さんいかがだったでしょうか。
住人は医療従事者ですのでその側面から世の中を見たときに現在の流れのまま突き進んでゆくことが、(歯)医者と患者さん双方の幸福につながるのだろうかと疑問を持っています。医療では最近「インフォームド・コンセント」(説明と同意)から、すべてを知った上で患者さん自らがいろいろな治療法の中から治療法を選択する、「インフォームド・チョイス」(説明と選択)がトレンドになっています。この考え方は患者さんの当然の権利である一方、自己責任も求められます。いずれも訴訟社会のアメリカ合衆国から導入された概念で日本になじむかどうかは議論のあるところです。その件はまた別の機会に譲ります。まずは正しい情報の取得、そして適切な選択(インフォームド・チョイス)が今日の夕飯の食材選びから医療機関の選択、支持政党の選択まですべての現在の社会情勢に関して必要なことではないでしょうか。


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タグ:歯科 医療
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