SSブログ

世の中のからくりについて考える3~情報(広告)と企業の利益~ [世の中のからくり]

 今日も重たい話題です。ぜひ皆さんにもちょっと止まって考えてみていただきたいのですが、重たい話の嫌いな方はパスしてください。
前回までに、企業活動の目的と価格競争について考えてきましたが、企業はボランティアでもないのに利益も上げずにコストをかけて、安全で、高級な商品やサービスを提供するのは無理であることをお話したきました。
 ところが世の中これまた不思議なことがあります。

 国見ヶ丘の日の出



新聞広告などでみなさんもごらんになったことがあると思いますが、「デンタル ○○ △△△」などというよくわからない団体(企業?)が広告を出しています。一面広告の場合もあります。
読んでみると、「「九州・山口エリア全域」にインプラントの資料を無料で送付します。」さらに、小さな字で「歯に関する治療法を無料で提供している情報センターです。医療行為は一切行っていません。」とあります。これを見ると歯科医院ではない団体が慈善事業で歯科に関する情報を提供しているように受け取れます。これが本当に慈善団体で無償にもかかわらず、収支的に成り立っているのであれば、すごいことです。住人はすごく不思議に思います。なぜなら皆さんは新聞の一面広告を出すとどのくらいかかるかご存知でしょうか。地方紙ですら数百万円は下りません。全国紙ですと掲載だけで2000~5000万円かかるそうです。日本歯科医師会でもなしえないような事業を無料の慈善事業として行っているとしたらすごく立派なことです。それではなぜ「九州・山口エリア」なのでしょう。そもそもなぜそんなに高額のコストをかけてまで宣伝しないといけないのでしょう。また「歯や歯科医院に関する情報、資料をご提供します。」とありますが、どのような歯科医院の情報を提供するのでしょう。「医療行為は一切行っていません」とありますが、特定の歯科医院とつながっていない事を証明するものではありません。そろそろ皆さんもお気づきになったでしょうか。
少なくとも1回当たり、数百万円以上のコストを掛けてでもそのコストを回収して利益がでる「からくり」がないとこのような広告はできません。
 このような広告をすることを批判するつもりは毛頭ありません。仮にひとつの歯科医院がこのような広告を掲載したとしても何も問題にはならないでしょう。なぜなら日本では表現の自由は保障されています。知っていただきたいのは、「企業や行政、マスコミはそれぞれの利害関係のなかで利益を得られるからわざわざコストをかけて情報を出しているのであって、決して無料で(ボランティアで)情報を出しているわけではない」ことです。たとえば、近年健康保険の保険料を払えない人が出てきて、格差として問題になっていますが、過去に政府は保険料のうちの国の負担比率を以前より下げてお金を出し渋っていることなどは意外と知られていないと思います。政治家や行政は国民に知られては自分たちにとって不利益な情報はあえて出そうとしません。

 広告は当然のことながらそこに登場する商品(医療機関の場合その提供する医療)を買ってもらおうとして内容が作られています。例えば「外張り断熱の是非」などプロとしてのアドバイスは面白みにかけますのでCMには登場しません。その会社の住宅を買いたくなるように消費者に情報提供するのが広告です。
情報を発信する言論の自由があると同時に、情報は内容も手段もビジネスであり、必ずしも真実とは限らないのです。
 すべてとは言いませんが新聞や雑誌の医療特集などはまさに情報を提供するメディアはもちろん記事として出る側もビジネスです。これは推測ですが、テレビ局も医師が出演していろいろな番組が作られています。テレビ局も企業ですから、すべてがビジネスであり、出演するメンバーや内容すべて真実を伝えているということはありえません。
プライバシーの保護以外のところでも画面にモザイクがかかったりしているのにお気づきでしょうか。マラソン中継などで、モザイクがかかって路面の広告などが映らないようにしている一方で、その番組のスポンサーの商品はしっかりラベルをこちらに向けて、商品がわかるように映しています。このことだけでも放送局の体質をわかりやすく露呈していると思います。つまりテレビの情報には幾重にもフィルターが掛けられており、必ずしも真実ではないのです。
「安い経費で、センセイショナルに消費者に受け入れられて、視聴率を稼いで、広告収入を増やしたい」という企業としての論理が、極端な形で表面化したのが「発掘!あるある大事典」であり、大なり小なり同じようなことは他のメディアでもありうることと考えます。

 人が行動を起こす究極の動機は「痛みを避けたい」「快楽を得たい」だそうです。そのことを企業やマスコミ、行政はうまく利用しようとします。そして皆さんが「無料」という言葉に弱いことを彼らは知っています。しかし、「無料」の裏にはほぼ「からくり」があります。 つまり商品になる情報というのは多くは受けての一般人にとって心地よいもの(余談ですが、ヒトの不幸も日本人にとって蜜の味です。したがってワイドショウーは日本からなくなりません。)であって、真実やまして消費者にとって耳の痛い事柄ではありません。しかも視聴者はテレビで言っていた事は絶対正しいものとして理解します。
 我が家でも仕事中にさまざまな投資の勧誘の電話がありますが、電話(タダ)でそんな虫のよい話が向こうから飛び込んでくるような甘い世の中ではないことは皆さんお気づきのことと思います。インターネットの信憑性もそろそろ皆さん疑問をお持ちだと思います。ところが、これがテレビや新聞、雑誌などのマスメディアだととたんに100%信用してしまいがちです。
しかしながら実際は、テレビや新聞ですら真実を伝えることよりもメディア企業として利益を出すための商品として情報を皆さんに提供しているのです。ですからくだらないものや伝える意味さえ見出せないものでも紙面や番組を埋めて広告収入を得ようとします。しかも広告以外のグルメや旅行、健康、医療といった「情報の中身」も実は企業が広告料を払って出しているものが少なくありません。

 今の世の中、広告主がお金をかけてでも伝えたいこと、つまり企業(行政やマスコミを含む)の収益につながることや都合のよい情報ほど露出度が高く、露出度が高いがために人々にはその広告があたかも「真実の情報」のように伝わっているような気がします。
実際の真実は意外と刺激的でないため表に出てきません。マスコミに流れている医療にかんする情報も例外ではないようです。自分の耳に心地よい情報は要注意です。次回は医療と情報について考えます。

>>>世の中のからくりについて考える1~「本物の時代」~
>>>世の中のからくりについて考える2~「発掘!あるある大事典」も不二家もみんな同じ?」~

>>>世の中のからくりについて考える4~医療と真実の情報~



 

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (新書)
松永 和紀 (著)

国見ヶ丘


タグ:歯科 医療
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。