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顎関節症の治療 [歯の話]

2497039 前回まで、顎関節症について書いてきましたが、今回はその治療についてです。以下は住人の一つの意見として、ご理解下さい。

 顎関節症の治療法はいろいろな検査をして、どの部分にどんな問題があるかによって選択されます。

 治療法は 全身に対するものと顎や歯など局所に対するものに分かれます。
 全身療法は、内科医、精神科医、整形外科医と相談しながらやらなければなりません。
 局所療法としては、噛み合せを治すことが中心になります。
多くの患者さんはスプリントというマウスピースを上顎あるいは下顎に入れます。

スプリント治療の目的は、
・かみ合わせが原因であることの確認
・かみ合わせや関節のストレスなど、為害作用を減少させ、組織のダメージをやわらげ、結果として組織の抵抗性を増加させること
・好ましい噛み合わせの位置を決めるため
です。

平尾台 千仏鍾乳洞

 下あごを3次元的に、安静にしてあるいはご本人が望ましい位置に誘導し、
顎の筋肉の緊張がとけて楽になると、スムーズに顎が動くようになります。
症状がとれたなら、
残っている歯のかみ合わせの調整や矯正、
クラウンやブリッジ、それに入れ歯など
で噛み合わせの再構成(やり直し)を行い、
再び好ましくない噛みあわせに戻らないようにしなければなりません。

顎関節の異常が長期間になると
顎関節の変形や、軟骨の損傷を招くことがあります。
その場合には外科的な手術が必要な場合もあります。

またストレスや性格、精神・心理的な要素が重要視される場合が多くあり、神経科など他科と連携した治療が必要な場合もあります。

 一時的にスプリントを入れただけで、自然と症状が取れて、後は何もしなくてもよい場合もあります。
我が家でも、ウソのように症状が改善された患者さんからは大変感謝されます。
 一方で、大学の附属病院に勤務していた時代にも顎関節症の患者さんを診察しておりましたが、
治療期間が長期(2年とか)間必要になる場合もあり、慢性化する場合もあります。
治るというより、関節円板が伸びきった状態で、口が開くようになることもすくなくないように思います。

歯を削って噛み合わせを作り直すとうまく行く場合も多くありますが、原因は噛み合わせだけでないだけに、中には必ずしもうまく行かない場合があることも事実です。
スプリントで求めた、ご本人が希望する、噛み合わせの位置が、ご自身の歯による実際の上下の噛み合わせと全く異なる位置の場合、
スプリントが手放せなくなるばかりか、一時的にであれ、かえって噛みにくくなり、精神的にも混乱してしまうことがあります。

 高額の治療費を要求されたり、歯科界では科学的根拠が希薄な治療法を患者さんに勧めたりして、トタブルを起こしている歯科医がいることを時々耳にします。

ネガティブな情報ばかり書きましたが、治療することで、多くの患者さんは状況が改善します。
しかし、いつも申し上げているように医療は100%の成功率ではないこと、治療にはデメリットもある場合があることをご理解いただきたいのです。
患者さん側にもそれなりの(結果が出なくてもよいから治療して欲しいくらいの)覚悟と治療する歯科医師との信頼関係が大切だと思います。

最初に書きましたが、顎関節症は、症状や程度が個人によって様々です。
紙面の都合と、住人の知識の都合で十分言い尽くせていません。
顎関節症は 今現在もいろいろと論議の多い疾患で、考え方も変化を遂げつつある分野です。実際、解明された病気ではないようですし、それらをヒトくくりにするのは危険です。(簡単に「治りますよ」という先生はいかがなものでしょう。)
このブログをご覧になって納得せず、歯科医に実際の口の中を診察してもらうことをお勧めします。

>>>歯(噛み合わせ、虫歯)と肩こりの関係 

>>>自分で自分の歯を痛める「ブラキシズム」

DSC_0882 (Small).JPGスプリント(マウスピース)の一例

6.30 (6) (Small).JPG上あごにマウスピースを入れた状態(患者さんの承諾を得て掲載しております)

 

 


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