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円高還元セールとエコロジー [エッセイ]

 大手スーパーが「円高還元セール」と称して食料品などの値下げセールをしていると聞きました。
これだけを見ると消費者にとってはこの不景気に経済的に喜ばしいことのように思われます。
 分子生物学的には中国産の冷凍野菜も、北九州産の野菜もほぼ同じかもしれません。だれしも同じ商品を買うのなら安いに越したことはありません。

一方で、食の安全、食料自給率の問題、フードマイレージの問題、エコロジーなどの皆さんの関心の高まりとともに、日本の企業は「わが社はいかにエコロジーに努力して、地球環境を考えているか」をテレビCMなどで、盛んにアピールしています。
このスジで行くと、「エコで安全な日本の食品をやすく提供します。」というのなら納得しますが、「円高だから海外の為替差益で安くなった商品を買いましょう」というのはいかがなものでしょうか。

2443808島根県安来市 清水寺

 円高になれば、相対的に海外の商品の値段は安くなるので買いやすくなります。
しかし、安い海外の商品が流入すれば日本の農業や漁業はますます疲弊してしまいます。
皆さんが今は安い海外の農産物を買うことで、日本の農家や漁師さんにお金が回らなければ、日本の農業や漁業は壊滅してしまいます。日本の豊かな自然を保全するためにも 農業や漁業、林業が崩壊してしまうと、それを立て直すのはほぼ無理でしょう。その上、自国の農漁業が崩壊後は、他国の食料を買わないと生きてゆけませんので、相手国の言いなりの価格で商品を買わざるを得なくなります。

この点アメリカは経済的に凋落しても、食糧戦略はしっかりしています。
オレンジ、小麦粉や大豆を輸出して、自国の農業を保護しているので、ドル高やドル安が消費者の食費に直接大きな影響はありません。
農産物の輸出によって外貨を稼いでいるだけでなく、自国の農業を守り、加えて、他国への「食料の輸出停止」という脅しのカードまで手に入れているのです。
その策にマンマとははまっているのが日本でしょう。

また横道にそれましたが、輸送に際して吐き出す二酸化炭素を考えても、地産地消が一番エコロジーではないでしょうか。詳しくは過去のブログを参考にしていただきたいのですが、中国製冷凍餃子の時にはあれほど大騒ぎして海外の食品の安全性が議論されていたのに、今度は「円高だから海外の食品を買いましょう。」というのは食の安全、食育の観点からも地産地消の観点からもいかがなものでしょうか。

 また、企業としての大手スーパーが、エコロジーを訴えたり、地球環境に優しい企業を宣伝するのであれば、「海外の商品を買う方が、日本の食品を買うより値段以外にもエコである、メリットがある」という根拠を示してほしいものです。

こうして見ると、企業はいろいろ下手に出ているようなフリをしながらも、結局は自社の利益だけ考え、誤解を恐れずに言えば、日本の消費者はなめらています。

住人は「日本人は「安けりゃいいじゃん」という市場原理主義はもうこりごりと思っている」と思っていたのですが、今回は日本人の消費者の消費行動も問われているのではないでしょうか。

オバマ大統領夫人は ホワイトハウスで野菜などを栽培しているそうです。アメリカにはまだ、そういった危機管理意識がしっかりあるのでしょう。

企業の陳腐な策にはまって、子供たちの食料環境、いや自然環境を悪化させないためにも、まずは近場(チカバ)で、近場の物買って、地元の者同士、日本人同士助け合いたいと住人は考えます。

ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais nouveau)よりも日本産のワインで秋の夜長を楽しむ方がおしゃれではないでしょうか。

>>>日本の農業と食について

清水寺 (安来市)


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