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生きる力 [エッセイ]

 住人が子供時代に読んで感銘を受けたSF小説に、E.E.スミス著 「惑星連合の戦士」というのがある。詳しい内容は忘れてしまったが、科学者が乗っていた宇宙船が、宇宙人に攻撃され、破壊された宇宙船の断片とともに惑星に漂着する。そこで、唯一のパートナーである女性とともに、宇宙船のパーツを修理しながら再構築して、惑星からの再脱出に成功するという様な筋だったと記憶している。
この本を読んだときに、高度な科学的な知識とともに人間として孤立した状況でも生きていけるたくましさが必要であると子供ながらに感銘を受けたのだと思う。 

 さて、最近のコンビニのテレビCM で、若者たちが無人島らしき島に漂着して、米を炊こうと、火をおこそうと、いかだで脱出しようと試みるのだが、うまくいかず、「そうだ!X―XXへいこう」とコンビニ(無人島らしき島になぜコンビニがあるのか突っ込みたくなる住人だが、話が長くなるので省略)で、自分たちのほしいものを買って満足すると言うのがある。

 コンビニ(企業)の論理としては「わが社としては顧客満足(CS)を重視しています。皆さん火が熾せなくたって大丈夫、あなた方がほしいものはコンビニに行けば何でも手に入りますよ。何も心配要りませんよ」と訴えたいのである。
すべての企業は わが社を選んでもらって、消費してもらうことに全精力を注ぐ。企業論理としてはまっとうであり、このような考えを導入しないと医療機関も生き残れない。

ここで、住人が突っ込みたい疑問点は「あの若者たちはどうやって金を稼いでいるのだろう。一生暮らせる金融資産(これもいつ紙切れになるか分らない時代だが・・・)を持って、島に漂着したのだろうか?」と言う点である。
企業はお金の稼ぎ方までは教えてくれないし、お金がなければ相手にしてくれない。至極当然のことである。

DSC_7077 (Small).JPG東大寺戒壇堂

 住人も他人のことを言う資格はないのだが、最近の日本の若者は生まれたときから、消費社会の中にいて、お金を払って消費することにはどっぷり慣れている。
 しかし、社会に出て自立するまでは自分で稼ぐという意識が希薄なのではないだろうか。もっともそういう教育もされてなし、境遇でもないので彼らは責めを受ける立場ではないのだが、 最近では小学生が新聞配達している姿も見かけないような気がする。稼ぐことをちょっとよこにおいといて消費すること(サービスを受けること)だけが得意になっている。多くの若者は、実際に社会に出て、自分の稼ぎと消費したい金品やサービスとのギャップに軽いショックを受けるのではないだろうか。
住人はあのテレビCMを見るたびに、消費することだけ得意になってしまった日本人を嘲笑しているのがあのコンビニのCMではないかと思う。

 日本の産業構造も農業や工業のように実際に物を作る産業の構成比が減り、金融業など「お金がお金を生むようビジネス」のたぐいがスマートに捉えられる風潮になったような気がする。本来、人のために物やサービスを提供して、その対価として報酬をもらうのであって、そんなに簡単な仕事などないはずである。そして稼ぐことの大変さが身にしみれば、世間のすべてのヒトへの感謝の気持ちも増してくると思えるのだが・・・

さらに最近はキャッシュレス社会になり、お父さんの給料も銀行振り込みで、お父さんの給料の現金を見たことない。そして、ローンやもろもろの支出がカードなどでバーチャルに自分の前を通り過ぎていく。しぜんとお金(自分たちの稼ぎ)という意識が希薄になっているのではないだろうか。

「日本人の目が農業でも漁業でも、工業でもいいので物を生産する現場にもっと向けられればいいのに。生産する人たちがもっとプライドを持てて、社会的に評価される日本になればよい」と思います。
今本当に恐慌が起こったときに都会に住む若者たちはどのような行動を起こすのか気になるところである。もっとも丸の内などのエリートサラリーマンや官僚の皆さんにとっては杞憂でそんな心配無用なのかもしれない。

リスクのマネージメントは考え出すときりがないのだが、ちょっとマイナス思考なのか、山奥にすむ住人としては「どんな時代になっても、どんな状況に追い込まれても、生き残れる、柔軟で強靭な精神力と、知識を身につけなければ」と思うのであった。乗船した宇宙船が漂着したときに備えて、サバイバルの練習をしよーッと!


タグ:生きる
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