お勧めの1冊No.5 [お勧めの1冊]
小松秀樹
医療の限界
新潮社 新書(2007/06) ¥ 735 (税込)
タイトルこそ「医療の限界ですが」この本は医療の立場から、医療のみならず、日本人、マスコミ、刑事司法、教育、大学、学会、医療行政を見渡すと今のシステムでは立ち行かなくなっていて、「現在の日本の限界」を述べています。医療にかかわるすべてのヒト、これからお医者さんにかかる可能性のあるすべてのヒトに実寸大に医療の現実を掌握してもらうためにぜひ呼んでいただきたい1冊です。
福島県の産科医が業務上過失致死で逮捕され、産科医不足にさらに拍車がかかっていますが、国民の皆さんは日本の医療をどうしたいのでしょう。
本文にあるように
医療とは本来、不確実なものです。100%の成功はありえません。
しかも現在の医療は医療サイドの意向に反して、行政や司法から縛りを受けて思い通りにならない状況です。マスコミは面白おかしく取り上げますが、本質を皆さんに説明しようとはしません。
そしてヒトの命に代表される医療に費やす財源、人材が無限にあるわけでもありません。
そんな中で医師だけが100%のパホーマンスをしなければ逮捕されるのです。打者で言うと10割打者であることが求められます。
メディアに煽られ、司法に裏打ちされて、医療への理不尽な攻撃が続けば、現在必死になってがんばっているお医者さんのやる気をどんどんそいでいくことでしょう。そして、医療崩壊の原因は患者との軋轢であると思うと筆者は指摘します。
このスジで行けばまじめに日本の医療に携わる人はいなくなるでしょう。
筆者の文章の結びの言葉より
現在の医療危機の原因が、考え方の齟齬にあるとすれば、解決のために、国民的議論は避けて通れないと私は確信しています。
あとがきに代えてより
日本の医療費は、世界的に見て低く、ぎりぎりの状態で運営されています。もし、費用を抑制するとすれば、どのサービスをやめるのか、あるいは、サービスの質をどこで落とすのかがセットで議論されなければならない。
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