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進歩3 [歯の話]

 住人の趣味のひとつに仏像見物があるのは以前書きました。見仏していると昔の仏師の芸術的、技術的レベルの高さと完成度に驚くことがたびたびあります。
一方で、有史以来人間進歩しているようで、同じようなことを繰り返していると感じることも少なくありません。
歯に関する事柄でも、昔から鋭い指摘をしている先人はいるものです。

 養生訓(ようじょうくん)は、江戸時代、福岡在住の儒学者貝原益軒によって書かれた健康な生活の暮し方についての解説で、彼の著作の中でも最もよく読まれたものである。
 以下 森下雅之訳より住人の専門に関する記述を拾ってみました。

 

土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアムにて

 巻第五

朝の行い

毎朝、まず熱い湯で目を洗い温める。鼻の中をきれいにする。ぬるま湯で口中をすすいで前日からの汚れを出す。干した塩を使い上下の歯と歯茎を磨き、熱湯を使い十分すすぐ。すすいでいるときに、ぬるま湯で洗った布で顔と手を洗う。~中略~

そのあと、別の塩湯で目と口を洗い直し、口をすすぐ。毎朝、これをしておけば歯は丈夫で老年になっても歯は抜けない。視力も衰えず、老いても眼病にかからず夜でも細かい文字を読んだり書いたりすることができる。

 私も毎日これを実行しているので、83歳になっても細かい時を読み書きできるし、歯も1本も抜けていない。そしてつま楊枝も使うこともない。


住人のコメント:現時点で、塩の薬効に関し住人は科学的根拠を持ち合わせませんが、塩入り歯磨き粉が現代でも人気があるところを見ると、何かしら爽快感があり好んで使われている様です。そして「歯と歯茎を磨く」というのも卓見です。

「つま楊枝も使うこともない。」ということから想像するに、おそらく貝原先生は83歳にして歯周病で歯が動いて歯と歯の間に隙間ができる様なこともなく、また歯茎が下がっているわけでもなさそうで、いたって健康なお口だったと思われます。現代人で60歳の方でもこのような方は稀有な存在です。


歯を守る

歯の病は胃からくる。毎日、歯をかちかちと36回くらい噛み合わせると歯が安定して虫歯にならず、歯の病気にもならない。

住人のコメント:「歯の病は胃からくる」というのは現代の科学ではよくわかりませんが、お口が消化器官の始まりであり、消化機能の低下などがお口の状態に影響することは十分考えられます。免疫機能の低下などがお口の状態に影響することが表現したかったのでしょうか。

しっかり噛むことが、噛みあわせを安定させ、お口に汚れをつきにくくすることなど、お口の健康にとって重要なことは証明されております。逆によくかめないことは問題です。

それに加え、現在ではしっかり噛むことが、中枢神経系を刺激して、認知症の予防になったり、満腹中枢を刺激して、過食を予防すると言われております。

硬いものは食べない

 若いときに、歯が丈夫だといって堅いものを食べてはいけない。梅やヤマモモの種の皮などを歯で噛み砕いていると、歯が抜けやすくなる。細字をたくさん書くと、目と歯が悪くなる。


住人のコメント:しっかりかむことは大切ですが、「過ぎたるは何とやら・・・」。歯や歯茎も生身の体ですのでオーバー・ロードは問題です。昔、ビール瓶の栓を歯で抜けれることを自慢するおじさんがいましたが、ビール瓶の栓は栓抜きで抜きましょう。

そうでなくても現代は何かとストレスの多い社会です。ストレスによって、歯軋りや無意識に食いしばりをなさっている方は歯にトラブルが起こりやすいので要注意です。

爪楊枝の使い方

 つま楊枝で歯の奥までさしてはいけない。歯茎を痛めるからである。


 住人のコメント:そのとおりです。爪楊枝は歯茎を傷めてしまいますのでなるべくなら歯間ブラシを使いましょう。

巻第六
予防が大事
病気にかかる前に、予防をしておけば病気にはならない。病気になってから薬を飲んでも、なかなか治らない。小さな欲望を我慢しておけば、大病にかからない。大病は、つらいものだ。つらい大病のことを思えば、病気にならないように予防するのが大事である。


 住人のコメント:江戸時代から予防が大事ということは理解されていたようですが、これを実行するのはナカナカ難しい。住人もわかっちゃいるけど「メタボ」です。(現在ジムで必死に汗をかいていますが・・・)

最近はPMTC(健康な時に歯医者さんでクリーニングをしましょう)という概念が普及しつつあります。

健康保険の制度が縮小傾向になる現在、病気にならないことが、経済的にも一番の防衛手段です。
歯医者さんは痛くなってからでなく、健康なときに行くところになりつつあります。
 

 先人が江戸時代にこのような鋭い指摘をしているにもかかわらず、現代においても相変わらずむし歯や歯周病が蔓延しています。

現代人は未だ江戸時代と同じようなところを右往左往しているようです。

もちろん自分を含めてですが、本来人間はまったく懲りない性格なのか、そうでなくても進歩がないようにおもえます。

人間は その個人の一生においても、連綿と続いてきた世代間においてもそう簡単に変わるものではないのかもしれません。



養生訓


タグ:歯科 養生訓
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