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お勧めの一冊No.13 [お勧めの1冊]

  正法眼蔵随聞記 (岩波文庫) (文庫)
  懐奘 (編集), 和辻 哲郎 (校訂)


•文庫: 170ページ
•出版社: 岩波書店; 改版版 (1982/01)
•ISBN-10: 400333194X
•ISBN-13: 978-4003331941
•発売日: 1982/01

住人は師匠から常々、「物事を調べたり、学ぶ場合は原著に戻れ」と教えられてきた。

確かに、原著はその「孫引き」とは一線を画すオーラがあるように思う。

しかしながら、原著の作者があまりに天才的で、難解な場合、内容を凡人である住人にも理解できるよう、噛み砕いてくれる書籍というのもありがたい。

 特に禅宗に関する書籍は難解で、「ただ単に読む」ことすら出来ず、まだ住人はそのレベルに達していないのであろう。
「正法眼蔵」もいつかは挑戦してみたいと思っているが、まだ先のことのような気がする。

本書は弟子の「懐奘 」によるその解説本といえる。

 道元は改めて言うまでもなく、「座禅している姿そのものが仏であり、修行の中に悟りがあるという修証一等、只管打坐の禅」を伝えた、永平寺の開祖である。

 本書を読み進めてゆくうちに、「現在の日本人による「自己啓発本」といわれるジャンルの本には禅宗の影響を受けたものが多いのではないだろうか」と ふと思った。
「にんげんだもの」で住人も心を揺さぶられた、「相田みつを」氏も曹洞宗の影響を色濃く受けているようである。

本書は 人としての立ち振る舞い方、学問を志す上での心得など、かなり具体的に説明してくれている。 

学道の人、言を出ださんととせん時は、三度顧みて、自利利他の為に利あるべければ、是を言うべし。利なからん時は止まるべし。

たとひ我は道理を以って云ふに、人はひがみて僻事(ひがごと)を云を、理を攻めて勝はあしなり。また我は現に道理と思えども、わが非にこそと云て はやくまけて のくもあしばやなり。只人をも折らず、我が僻ことにも謂はず、無為にして止みぬるが好きなり。

所詮は事に触れて名聞我執を捨つべきなり。

明日猶明年の活命をを思うて仏法を学せんは、万劫千生すともかなうべしともおぼえず。

例を挙げればきりがないので止めておくが、住人にとってかなり耳に痛い言葉だらけである。

こうして考えると、相田みつを氏は別格だが、現在書店に並んでいる「啓発本」の類を何十冊も読むよりもむしろ、本書を熟読し理解できれば、およそ事足りるような気がする。

道元の教えは難解であるといわれているが、本書に出てくる内容は抽象的でなく、人生をどう生きるかが書かれているようである。鎌倉時代の本書が現在にも通じるのであれば、「人間の本質」、人間の「望み」、「立ち振る舞い」、「あるべき姿」、等等は鎌倉時代からあまり変わっていないのかもしれない。

「原著にもどれ」という師匠の言葉は容易ではないが、古典や原著まで行き着けなくても、出来るだけ、原著に近いところを求めることはやはり正しい理解には近道かもしれない。

余談になるが、仏像の次に来るマイブームは「仏教」それも「禅」だと考えている。

若い方は ぜひご一読をお勧めいたします。

本書の理解をより容易にするためにお勧め
禅のすすめ―道元のことば (NHKライブラリー) (単行本)
角田 泰隆 (著)


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