SSブログ

歯の治療は痛くなく、早く、安く、きれいに、丈夫で長持ち、は可能ですか? [歯の話]

 住人は「歯科医学の進歩は目覚しいものがあります」と申し上げてきました。
そして皆さんが歯科医に望む治療というのは表題のとおり、痛くなく、早く、安く、きれいに、丈夫で長持ち、そして最近ではこれに加えて安全ではないでしょうか。もちろん歯科医は患者のニーズを汲み取って、患者さんの満足が得られるようできるだけ努力します。(そうでなければ生き残れませんから・・・)
 そして皆さんは「いまどき歯の病気は、全国どの歯科医にみてもらっても同じ答えの返ってくる(歯科界においてコンセンサスの得られた)ベストの治療法というのがひとつ確立されていて、それがどの患者にとっても最大限メリットがあり、最小限のデメリットの治療法が存在する。そしてその治療は おおむねどこの歯医者でもやっている」と誤解なさっている患者さんがおられるようです。

北九州空港SFJ05:30発→羽田行きからの日の出


住人の説明能力に限界がありますし、本日の内容が住人の独りよがり的思い込みと誤解されると困りますので、歯科医師の熊谷 崇 氏、 医療ジャーナリストの秋元 秀俊 氏の共著による「新版「歯科」本音の治療がわかる本―歯科で損をしない「歯医者さん」の探し方・選び方 」より以下の文章をそのまま改変せずに紹介させていただきます。住人は著者らの意見におおむね賛同します。興味のある方は一度手にとってご覧になってみてください。

 ●「安く、きれいに」はアブ蜂取らず
 ダメになってしまったところを人工的になおす処置は、元どおりきれいにしようとすると「からだをいじめる処置(侵襲の大きな処置)」 が必要になります。きれいな結果は、麻酔注射、外科手術、抜歯、菌の切削、骨の移植、骨や歯肉の再生手術と引き替えです。手数が多いだけ費用もかかります。悪くしてしまった以上、「できるだけ削らない」と「きれいに」は両立しません。「安く」と「きれいに」を両方とも望むのもアブ蜂取らずになります。こちらを立てればあちらが立たずという関係があるのです。どちらを選ぶにせよ、必ず犠牲を伴う関係(経済でいうトレードオフの関係)です。
 「素早く終わること」と 「長持ち」も同じ関係です。
歯を白く(自然の歯のような透明感のある歯に)するためには、たくさん削ることになります。削る量が多いと歯の中の歯髄(住人注:いわゆる歯の神経)がダメージを受け、痛みがでることがあります。削る量が少ないと歯ぐきの近くが黒っぼくなります。あるいは汚れやすい形のクラウンになってしまうかもしれません。見かけのいいクラウンの処置をして痛む心配をなくすためには、歯髄(神経)を取ってしまう選択も考えなければなりません。
●「歯髄を守りたいので、痛むかもしれません」
 トレードオフの関係では、両立は望めないのですが、患者さんにとってどちらかを犠牲にするということは、なかなか納得できることではありません。そのため、歯医者さんは説明せずに(住人注:我が家は説明します)どちらかを犠牲にしがちです。どちらかをあきらめて勝手に処置してしまうことが多いのです。患者に気づかれやすいところだけをちゃんと処置することが多いというべきかもしれません。悪くしてしまった場合には、犠牲なしには治療はできないことを理解してください。もしも、歯医者さんが、あなたの考えをたずねたとしても、あなたが聞く耳をもたなければムダになってしまいます。
「外見を犠牲にして歯髄を守りますか?」
「歯髄を守りたいので、痛むかもしれません。いいですか?」という具合にです。
 歯をダメにしてしまった場合、人工的にみかけの歯をつくることはできますが、いいことばかり、というわけにはいかないのです。これからしようとする処置について、「いいことばかり言う歯医者さんは、かえって信用できない」という患者さんのカンは結構あたっているのです。
●患者の自己選択権を強調するインフォームド・コンセント
 医療における患者さんの自己選択権を強調してインフォームド・コンセントという言葉が使われます。十分な説明を受けて、患者さんが治療方針を判断するしくみです。
 「保険にしますか? 自費にしますか?」
 歯医者さんは、こんなふうにたずねますが、これはインフォームド・コンセントではありません。ここで聞かれているのは、負担の大きさだけだからです。何を犠牲にして何を守るのかを患者さんといっしょに決めることがインフォームド・コンセントです。トレードオフの関係がない治療(自然治癒する病気やケガ)では、よく説明して患者さんの理解を得ればいいのですが、歯科に限らず必ず大きな犠牲を選択しなければならない医療では、患者さんの判断を得ることが必要になってきます。

住人注:以上のような内容は患者さんにしてみれば「あまり耳ざわりのよい話ではない」かもしれませんし、「まかせるので、グズグズ言わずにさっさと治療してよ!」が患者さんの本音ではないでしょうか。しかしながら昨年来の再生紙の偽装問題をみてみても、ありのままの真実を伝えていないことが問題です。競争の激化に伴い、できないこともできると約束してしまいがちですが、それがかえって信用を失う結果になっているような気がします。歯科医にはできる事とできない事はありますが、患者さんのニーズにこたえようと必死なのです。かかりつけの歯医者さんに「長持ちよりも痛くなくを優先させて欲しい」などと御自身の希望を言ってみてください。そして長所、短所、起こりうる事などを十分吟味して治療法の選択をしましょう。十分コミュニケーションをとって、相互理解できていればかなりのトラブルは防げるのではないかと思います。つまり、患者さん、歯科医師相互に納得して治療に取り掛かることが大切です。

>>>世の中のからくりについて考える4へ 

>>>歯科治療と価格2へ 

「歯科」本音の治療がわかる本新版


以下2008.2.28追加です。
全国保険医団体連合会のHP、特別寄稿 宇沢弘文東大名誉教授、 日本の医療崩壊と後期高齢者医療制度 世界に誇るべき国民皆保険制度 完全な崩壊への決定的一歩
※住人は共産党支持者ではありません。念のため。
お勧めの1冊No.5 小松秀樹 著 医療の限界>>>

タグ:歯科
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。